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鈴木は3人目の被害者であるC子さんの事件を起こした翌日である、05年1月19日未明に、乗務するトラックで交通事故を起こしてしまい、入社からわずか3カ月の間に3度の事故を起こしていたことから、同月22日に退職している。

じつはこの運送会社を退職した日の夜、鈴木は彼の自宅から近い直方市の歓楽街に、友人と飲みに出ていた。すでに3人を殺害していた彼は、そこで知り合った人物の紹介で、逮捕時の職業である、土木作業員の仕事に就くことになったのだ。

スナックのママが見た殺人鬼の横顔

直方市内でスナックを経営する60代のXさんというママは、私の取材に語る。

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「(鈴木は)たまに店に来てくれる若いお客さんに連れられて来たんです。ちょうどそのときにうちの娘が店を手伝っとってね、『あら、××ちゃんのお父さん』って、顔を知っとったんです。娘は保育園の保育士をしとって、そこに鈴木の子供が通いよったの」

犯行当時、鈴木には妻との間に2人の幼い子供がいた。この店を初めて訪れた日の鈴木は、笑顔交じりで酒を飲み、カラオケで歌を歌うなどして上機嫌に過ごし、帰っていったそうだ。Xさんは続ける。

「態度は普通でしたよ。明るく笑いよったし、大声で歌いよったしね。後で考えたらとんでもない話よねえ。やけど、そんなおおごとをしでかした(大変な事件を起こした)素振りは、なーんもなかったんです」

呆れ顔のXさんによれば、初来店から3、4日して、鈴木は同店に今度は一人でやってきたのだという。

「最初のうちは前と同じように飲んで歌いよったんですけど、そのうちぽつりと、会社を辞めたばかりやとか、子供がおるけ大変やとか、急いで仕事を探さんといけんという話をするんです。でね、私はこの店のほかに土建会社を経営しとるんですよ。ちょうど1人くらい従業員を入れようという話をしていたんで、土建の仕事ができるんやったらうちへおいでって話をしたら、やるっていうことで、2月2日から働くことになったんです」