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「デジタル赤字」は2.6倍に

 このような状態では「宗主国」であるPF事業者が「税金」(手数料)を上げたり、「労働条件」(利用規約)を変えたりしただけで、その条件下で働く「小作人」は壊滅的な影響を受けかねないだろう。

 例えば、東証グロース市場から上場廃止となる見通しとなったユーチューバーのマネジメント会社、UUUM。一時は時価総額1000億円を超えたが、2023年5月期決算では10億円を超える赤字となった。その一因として指摘されるのが、グーグルが2021年に導入した「ユーチューブ・ショート」の影響だ。

 ユーチューブ・ショートは最長60秒の縦型動画で、若い世代に人気のTikTokへの対抗策として導入されたと言われる。だが、ユーチューブ・ショートの収益化は難しい。導入から1年半後、再生回数に応じて一定の広告収入が配分されるようになったが、公式の情報はないものの、1再生あたりわずか0.003〜0.01円と言われる。ひと頃は「小学生のなりたい職業」でナンバーワンだったユーチューバーだが、最近は収入激減を嘆く声も聞こえる。

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 植民地化が進む中で、日本の「デジタル赤字」は拡大している。国家間の資金移動をまとめた国際収支統計のうち、デジタルサービスに関連する「デジタル収支」を集計した三菱総合研究所によると、2023年は約5兆5000億円のマイナス。赤字額は2014年の2.6倍に膨らんだ。デジタル赤字の3分の1弱を占めるのが、「クラウド利用料」だ。インターネット上でソフトウェアの利用やデータ管理ができるクラウドサービスは、IT社会を支える重要なインフラだ。総務省の2023年通信利用動向調査によれば、国内事業者の78%がクラウドサービスを利用する。だが、その国内市場の6割は、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)、マイクロソフト、グーグルの米国3社が占めている。