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「女優は一生をかけてやる仕事」

 美しいだけの女優ではなかった。美しさの中に「精神の糸」のようなものがピンと張り詰めていたと言ってもいいだろう。

「女優は一生をかけてやる仕事。命ある限り表現していきたい」

 取材に対し、川島は真剣な眼差しでこう応じていたが、女優としての目標は自分自身を超えることだったのだろう。穏やかな風景が続く一本道ではなく、曲がりくねった道のような芸能生活。山あり、また山あり。山を越えたら次の山が待ち構えており、その山に登って、さらなる景色を見る。「別の景色が見えたらチャンスありと思ってきた」と川島は語っていた。

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 さて、ここからは私の個人的な見解だが、川島にはどんな色が似合ったか考えてみたい。生命の色である赤やバラ色はたしかに似合う。大地を彩る黄や緑もシックな感じがして似合う。だが私は、青色こそ川島にとって最も似合う色だと唱えたい。

 青は大空を彩るように気高い。そして時には、人間を激しく拒む。画家のパブロ・ピカソ(1881-1973)も孤独で不安な青春期を青色で表現したが、暗く沈んだ色調の青こそ女優・川島なお美にふさわしい。晴れ渡った春の青空を見上げつつ、彼女に思いをはせる。

その他の写真はこちらよりぜひご覧ください。