昨年末の紅白歌合戦では10月に亡くなった西田敏行(享年76)を偲び、ゆかりの深かった松崎しげる(75)、竹下景子(71)、武田鉄矢(75)、田中健(73)の4人が、西田のヒット曲『もしもピアノが弾けたなら』を歌った。「週刊文春」では「紅白ウラ実況中継」として舞台裏を詳報。涙ながらに歌い上げた松崎と田中に話を聞いた。
田中健の回想
紅白の本番前、楽屋には4人にイルカと南こうせつの2人が加わり、“昭和組”の記念撮影を行った。松崎が「昭和の香りがプンプンするねえ」と口にすると、南が「それイイね! 本番で言おうかな」と応じ、6人は旧交を温めた。田中健が回想する。
「西やんとお酒を飲んだり年越しそばを一緒に食べたりした思い出話に花が咲いた。本番は西やんが紅白に初出場した時の歌唱映像に合わせて歌ったのでテンポを取るのに必死でした」
松崎しげるが続ける。
「健坊(田中)は慣れてないから、『本番はオレが横について(ソロパートの)頭は一緒に歌おうな』と言ってリラックスさせていたんだけど。西やんの映像が目に入ってきたら色々な思い出が蘇ってきて逆にこっちがこみ上げてきちゃって。不遇の時代からの無二の親友だったから」
松崎が振り返る親友との「初紅白」
1977年、松崎は『愛のメモリー』で紅白に初出場。出場の知らせを聞いた西田はこう喜びを爆発させた。「ありがとう。おれのずっと昔からの夢だったんだよ!」。
「もう狂喜乱舞で自分の事のように喜んでくれた。あの頃はレコード大賞も同じ日にあったのだけど、西やんはどちらの会場にも駆けつけてくれた。客席から『松、がんばれー!』と声援を送ってくれ、紅白はステージまで上がってきたね(笑)」(松崎)
それから4年後の1981年、西田も『もしもピアノが弾けたなら』がヒットし紅白出場を果たす。西田は生前、同曲を「詩を朗読するような歌」と語っていたという。
「西やんが歌うと、風景が目の前に立ち上がってくる。彼から歌とは何かを教えてもらった。これからも歌い継いでいきたい」(同前)
「週刊文春 電子版」では他にも星野源やB'zなど紅白出演歌手のパフォーマンスの裏話を詳報している。また、生前の西田さんを偲び、浅田美代子、三谷幸喜、井筒和幸らが「週刊文春」の取材に答えた記事も公開中だ。