行政方針の変更で窮地に

 2023年秋には、歯車の回転が完全におかしくなった。9月に事業再構築補助金の第10回公募の採択結果が公表されたが、北浜Gが申請に関わった案件の採択率はわずか15.3%。見込んでいた成功報酬が得られない事態となった。

 さらに、第11回公募からは、行政方針の変更により補助金審査が厳格化され、申請資料が増加したり複雑化したりする事態となった。また、代理申請へのチェックも厳しくなるなど、申請にかかる負担が大幅に増加。さらに、採択発表が大幅に延期されたうえ、全体の採択率も26.4%とかつてないほどの低水準となった。

 この結果、毎月2億円以上の赤字が継続することになり、資金繰りは瞬く間に悪化。2024年3月には、取引債務や公租公課の支払いが困難となる状況に陥っていた。4月に入り、スポンサー探しを始めたが、時すでに遅し。将来性や資金支援の面での折り合いがつかず、5月24日に事業継続を断念し、大阪地裁へ自己破産を申請した。

ADVERTISEMENT

©AFLO 写真はイメージ

多くのクライアントを裏切る結果に

 振り返るならば、本店を一等地に移転した経営判断が最大の誤りと言えるのではないだろうか。そもそも、こうした事務中心の業務であれば、立派なオフィスは要らない。外部委託していたフリーランスのように、リモートワークでも十分に対応できる業務だったはずだ。

北浜Gの本店があった「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」(写真=「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」のホームページより引用)

 また、補助金申請を入り口として、後の経営支援コンサルにつなげていこうと考えていたことは、十分に理解できる。しかし、人材不足の真っただ中で、身の丈を超える案件数を受託してオーバーフローしたことも、大きな蹉跌と言える。

 ただ、引っかかるのは、少なくとも1年前から経営状態の悪化がうかがえたのに、倒産の数ヵ月前まで取引金融機関にそうした窮状を打ち明けなかった点だ。ある提携金融機関には、北浜Gの営業担当者が倒産当日の午前中にも案件紹介をお願いしに来ていたという。多くのクライアントを連れてきた金融機関に、後足で砂をかけるような倒産の仕方は決して気持ちがいいものではない。

 倒産後に開催されたクライアント向け説明会の場では、潜在的な債権者が2500~3000名にのぼる可能性が指摘されたという。着手金を払ったのに採択までたどり着かなかったクライアントもいれば、補助金交付に向けた手続きのサポートを受けているクライアントもいたはずだ。彼らも「あとはご自身で……」と非情な通告を受け、路頭に迷うことになった。

 もともと人材育成支援コンサルを手がけていた企業が、自社の人材育成でつまずくとはなんとも皮肉な話。最後に補助金審査の厳格化というダメ押しがあったにせよ、他社の再構築計画をスムーズに進められなかった会社に、“自社事業の再構築”という課題は重すぎたのかもしれない。