【えのきどいちろうからの推薦文】
「小野山理絵」さんを代打起用します。この人は一本釣りして知ったんですが、96年「ガロ」マンガ評論新人賞佳作入選、同時期の8年間、北海道新聞でマンガ評論コラムを連載という経歴の持ち主でした。現在はパート主婦の傍ら、お嬢さんのマンガ家、オノヤマコズエさん(「花とゆめ」にて活動中)のアシスタントもこなされてる由。めっちゃ熱いファイターズファンです。
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交流戦明け、楽天3連戦の初戦、同点3ランと決勝打を打った西川遥輝が自打球の影響で次戦から欠場、陰に隠れて中島卓也も足を痛めて、突如、ファイターズからセンターとショートのレギュラーがいなくなった。
肝心要のセンターラインが消えた第2戦、1番センターに入ったのは、杉谷拳士、セカンドは田中賢介だった。こういった事態には常に大胆な手を打ってきたのに、珍しく堅実な選択をした栗山英樹監督。相手が天敵の岸くんだったので経験値の高いほうを選んだのかもしれない。拳士が先頭打者ホームラン、よし! うまくいったか! と思ったが、しりすぼみで惜敗……。
勝ち越しがかかった第3戦、やっぱり堅実なんて俺らしくなかったと思ったかどうか監督は大胆なほうにシフトする。セカンド拳士、ショート石井一成、センター大田泰示、ライト近藤健介、レフト横尾俊建。
正直に言うと、え〜〜?? と思った。ショートはベンチのメンバーでは石井くんしかできないところで、セカンドは拳士……大丈夫なのか……いや拳士の守備は大丈夫だけど、一成との二遊間の連携はあんまりやってないよね。ましてや楽天のスタジアムは天然芝、土のグラウンド……不安……。レフトの横尾くんも外野はたまにしか守ってないのに、スタンドは白のユニフォームでいっぱい、太陽は眩しく照り返し、ものすごく見づらそうだよ、不安……。
つって心配してたら、さっそく初回から二遊間でエラーを連発。ライトは目測を誤り、レフトは手元でポロリ、ゲッツーは取れず、勝ち試合の流れはどんどん相手に傾き、フィナーレは、石川直也と中田翔の連携ミスで勝ち越し点を与えて負けてしまった。ああああ。
常識的な布陣を目指してもファイターズは勝てない
6月24日ファイターズ公式ホームページ。「スコアボード」内ゲームレポートの栗山語録。
Q.加藤投手は粘り強く投げていたが
「本当に迷惑をかけた」
Q.守備のミスもあった
「野球なのでミスは起きる。ミスを生かすことのできない試合にしてしまったのはこっちの責任。申し訳ない」
この日の先発で5回4失点だった加藤くんは自身のコメントで「中継ぎ陣の皆さんに迷惑をかけてしまいました」と悔やんでいたが、栗山さんは加藤くんに「迷惑をかけた」と言っている。実際、監督の選んだ布陣でミスしまくり、先発のリズムを崩してしまったんだからえらい迷惑だ。まじで監督が悪い! バカ采配! と非難されても仕方がない、今季一番のダメ試合だったけれど……。
今年のファイターズは、こういうダメ試合をありとする中で優勝に向かっていくしかないのだ。わたしに断言する資格はこれっぽっちもないが、断言してみる。
ーー同日の日刊スポーツ記事ーー楽天3連戦は3試合連続の1点差で1勝2敗。栗山監督は「申し訳ない」と頭を下げ「ケガ人がいる中で、いろんなところを守れるようにやっているつもりだけど、そこは監督の準備が悪い」と責任を背負い込んだ。ーー
肝要なのは「いろんなところを守れるようにやっているつもり」という部分だ。今年のファイターズは、そもそも複数の選手が複数ポジションを守れるように構成されている。大谷翔平が抜けてDHが空いたこと、大ぼっちゃま清宮幸太郎のポジションが決められないこと、珍しく外国人枠の選手が5人でオズワルド・アルシアのポジションも変動的なことなどなど色々あるけれど、根本的には「できるだけ多くの選手にできるだけ多くの出場機会を与える」ためだと思う。
レギュラーは固定され、ポジションも決まっているほうがいいのが従来の野球界の常識だ。でもそんな常識的な布陣を目指してもファイターズは勝てない。全体に若すぎるし、シーズン通しての固定に耐えられる実力と体力の持ち主も、ごくわずかしかいない。開幕前の予想で玄人の評論家のみなさんが、軒並み下位予想にもした。
でもまたしかし、鎌ヶ谷にいるメンバーを含めて、一軍レベルでプレーできる選手はファイターズにはたくさんいる。先入観や固定観念を捨てて、多様なチャレンジをさせていけば、それぞれの力を引っ張り出せる。みんなの力を最大限まで集めて躍動させることができれば、新しい何かが生まれ、キラキラした野球ができる! ……はずだ。
と栗山監督が考えているかどうかはわからないけど。現実問題として、今あるものしか使えるものはないのだから、あとは使う側がどれだけ「力を発揮させてあげられるか」が一番大事なことになる。栗山さんの「監督が悪い」「監督の準備が悪い」って言葉は、はなはだわかりづらいけど本当のことなのだし、チームの采配とは、本来そういうことなのではないだろうか。