【シリコンバレー時事】第97回米アカデミー賞の主演女優賞候補になっているスペイン人俳優カルラ・ソフィア・ガスコンさんが注目を集めている。出生時の性別と性自認が異なるトランスジェンダー女性として初めて同賞にノミネート。トランプ大統領が「性別は男女のみ」とする政府方針を打ち出したが、投票権を持つアカデミー会員は迎合しない姿勢を示した格好だ。
ガスコンさんが主演したのは、作品賞など最多13ノミネートとなったフランス映画「エミリア・ペレス」。性別適合手術を受け女性になるメキシコの麻薬カルテルのボス役を演じている。米動画配信大手ネットフリックスが配信している。
アカデミー賞では、トランス女性で英作曲家の故アンジェラ・モーリーさんが1970年代に2度、作曲部門で候補となったことがある。ただ、演技部門で、トランスジェンダーを既に公言し、自らが自認する性で候補に入った前例はなかった。
今回のノミネートは「歴史に名を残した」などと報じられた。一方で、トランプ氏を支援した実業家イーロン・マスク氏が買収したX(旧ツイッター)上では「ドレスを着た男だ」「精神疾患は治療が必要だ」といった誹謗(ひぼう)中傷が出ている。
多様性を重視する政策に批判的なトランプ氏は、俳優のジョン・ボイトさん、メル・ギブソンさん、シルベスター・スタローンさんをハリウッド特使に任命。具体策は不明だが「海外にビジネスを奪われたハリウッドを復活させる」と述べている。