マッツ・ミケルセンの渋みに、惚れ惚れ

 それにしても、マッツ・ミケルセンの渋みのあるかっこよさよ。

 本作は「マッツ版レ・ミゼラブル」ともいわれているが、軍服を身に纏った姿などは、まさに、学生たちがつくったバリケードに味方として現れるジャン・バルジャンのようにも見えた。今年還暦になる年齢とは思えないほど、惚れ惚れする。

 とはいえ、「退役軍人」役なのだから、キャラクター設定としてもマッツと同世代のはずである。どう見ても10代後半から20代前半の貴族の娘が、本気で好きになるだろうか、という疑問は最後まで残った。

ADVERTISEMENT

「目の前にマッツがいたら好きになるよね」ということで納得してもいいが、ひょっとしたらどこかに、「見逃したケーレンの推しポイント」があったのかもしれない。それを探しに、再び劇場に足を運んでみたい。

INFORMATION

愛を耕すひと

2025年2月14日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

原題:Bastarden

監督:ニコライ・アーセル/脚本:ニコライ・アーセル、アナス・トマス・イェンセン/原作:イダ・ジェッセン「The Captain and Ann Barbara(英題)」/出演:マッツ・ミケルセン、アマンダ・コリン、シモン・ベンネビヤーグ、メリナ・ハグバーグ、クリスティン・クヤトゥ・ソープ、グスタフ・リン/2023年/デンマーク、スウェーデン、ドイツ/127分/配給:スターキャット、ハピネットファントム・スタジオ/©2023 ZENTROPA ENTERTAINMENTS4, ZENTROPA BERLIN GMBH and ZENTROPA SWEDEN AB