1月26日にスタートした通常国会。注目の論点が、野党が主張する企業・団体献金の禁止だ。裏金問題で自民党から処分を受けた萩生田光一・元政調会長が、一律禁止することの問題点を指摘する。
◆◆◆
政治家が育つ仕組みが失われる
――「政治とカネ」をめぐる国会での議論をどう見ていますか。
萩生田 迷惑をかけた立場で言いづらいのですが、もし企業・団体献金はダメ、政治資金パーティーもダメなら、私みたいな人間は政治家になれませんでした。世襲議員か資産家しか政治に携われなくなる。
とくに「来月、本当にお金がない」といった経験を何度もした地方議員の頃は、中小企業の社長が「頑張れ!」と献金してくれる5000円、1万円で活動していました。経団連などからの巨額な献金ばかりが注目されがちですが、中小企業のオヤジさんが出してくれる1万円も「企業献金」なわけです。
こういった企業献金を一律に禁止すれば、「政治参加の機会」や「政治家を育てる仕組み」が失われます。だからこそ、今回、「政治とカネ」に関して信頼を失う事態を招いたことを心から悔いています。ただ、「政治には一定のカネがかかる」ことを無視した制度をつくってしまえば、政治家を輩出する道がどんどん狭くなり、世襲議員と金持ち議員だけになってしまいます。
――「企業・団体献金は政治を歪める」という声もあります。
萩生田 例えば日本医師会の名前がよく出ますが、医師会の要求を丸呑みする議員など本当にいるのでしょうか。文句を言われながらも厳しい査定をして、「仕方がないんだ」とむしろ医師会を説得しています。献金をもらって言いなりになる政治家がいるなら、やめた方がいい。
そもそも「企業が見返りを求めずにお金を出すはずがない」という発想自体がいやらしい。実際には、見返りを求めず応援してくれる人はたくさんいます。「金を渡したんだから俺の陳情を聞け」などと言う人に私は会ったことがありません。
――「政党交付金が税金から出ている以上、企業・団体献金は禁止すべきだ」という主張をどう思いますか。
萩生田 極論を言わせていただければ、むしろ政党交付金を減額か廃止した方がいい。各党が競ってお金を集める方が健全でしょう。