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年収800万以上の中堅サラリーマンはなぜ騙されたのか

スマートデイズ経営破綻──サブリース事業にみる「甘えの構造」

2018/06/05
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 いっぽうの投資家側だ。こうしたケースでメディアでは、投資家の人たちを「騙されたいたいけな人たち」といった視点で報道するがどんなものだろうか。何もリテラシーのない高齢者や判断能力のない人たちが被害に遭うことはともかくとして、今回の被害者の多くが中堅以上のサラリーマンだという。

宣伝文句を鵜呑みにする前にやるべきこと

 これだけネットをはじめ様々な情報を得る手段がある現代で、「利回り8%、30年保証」といった宣伝文句を鵜呑みにしてさして考えもせずに投資金額の全額を銀行で借りてしまうなどという行動をしてしまうことは、人生におけるリスク管理ができていないのではないだろうか。賃料の保証がどこまでの保証であるのか、スマートデイズが本当に30年も保証できるほどの体力のある会社なのか、サブリース事業でこれまでどんな問題や争い事があったのか、少しの時間を使えば調べる方法はいくらでもあったはずである。それどころか自分の給与収入を「何も苦労せずに」増やそうという考えで立ち直れないほどの大火傷を負ってしまったと思えなくもない。

 少なくとも投資する物件がある周辺のアパートやマンションの相場、周辺土地の値段については公示地価や基準地価格をネットで誰でも自由に検索できる。建築費だってオフィスやマンション、アパート等の建築相場を調べる手法などいくらでもある。

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 どちらにも言えるのが、事業に対するリスクの考えに甘さがあるということだ。バブル崩壊後の1994年にリリースされたウルフルズのヒットソングに「借金大王」という曲がある。その中の歌詞「貸した金返せよ! 貸した金返せよ!」のリフレインが今両者の耳にこだましていることだろう。

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