──本作はひと味違う「学園モノ」ですが、撮影現場はどんな雰囲気だったのでしょうか。

吉野 今作は大半が教室内のシーンなんですけど、教室の照明が薄暗いんですよ。だから、撮影が進むにつれ、だんだん気持ちが沈んでいきました。

 最初はみんなそれなりに楽しく撮影していたんですけど、メンタル的にだんだん沈み、クライマックスに向けて緊張感も増して、どんよりした現場になっていきました。

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 普通は、最初は緊張して現場がぎくしゃくしたり、よそよそしさからちょっと重い雰囲気だったりしても、撮影が進むに連れてだんだん場が和み、明るくワイワイしてくるじゃないですか。それが真逆という。

 でも、本番以外はみんなで差し入れを囲みながらコーヒーを飲んでおしゃべりをしたりしていました。僕も差し入れをして、現場ムード向上に一役買いました(笑)。

©佐藤亘/文藝春秋

これまでにない、新しい演技ができた

──ご自分の「池永柊夜」をどう評価されますか?

吉野 自由にできないからこそ難しいところはありましたが、ちょっとした表情やしぐさで、自分なりの「池永柊夜」をつくれたのではないかと思います。

 とても控えめなキャラクターということで、身体的表現もかなり制限があって、いつものように感情を全開で出したり、自由に表現したりができなくて、最初はすごく不安でした。「こんなんでいいのかな、もっと感情を出したほうがいいのかな」と迷うこともありましたが、そういう意味ではこれまでにない、新しい演技ができたと思います。

──本作の見どころを教えてください。

吉野 作品全体としては、僕がいい意味で地味で目立っていなくて、自分では大成功だと思っています(笑)。

 教室のシーンが多いので、廿日市(くるみ/演:志田彩良)と名取(恭四郎/演:大東立樹)と一緒に、学校の帰りに寄り道をする「ロケ」シーンは、違う作品を撮っているような感覚でした。僕たちにとっても気分転換になりましたが、映画をご覧になる方たちにとってもいい息抜きになると思います。

 サスペンスとしてもミステリーとしても最高に面白い作品ができたので、ぜひ映画館で観てください。

撮影 佐藤亘/文藝春秋
ヘアメイク 大木利保(CONTINUE)
スタイリスト 吉田ケイスケ 

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『遺書、公開。』 
2025年1月31日(金)全国公開 

監督:英勉/脚本:鈴木おさむ/出演:吉野北人、宮世琉弥、志田彩良、松井奏(IMP.)、髙石あかり、堀未央奈、忍成修吾/原作:陽 東太郎「遺書、公開。」(ガンガンコミックスJOKER/スクウェア・エニックス刊)/企画製作:HI-AX/製作プロダクション:ダブ/2025年/日本/配給:松竹/©2024 映画「遺書、公開。」製作委員会 ©陽東太郎/SQUARE ENIX

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