筆者が取材した中では、最終的に地元の公立中学への進学を選んだとしても、“全落ち”で進学するのと、どこかしら受かった上であえて公立中を選んだのとでは子どもの気分が全く異なってくるからと、塾から「合格体験」を得るための受験を勧められた家庭も多くあった。
2月2日が終わっても1つも合格がなかったB子さんは、2月3日にもう一度本命校の入試を控えていた。しかし塾からは事前に、1回目の入試を逃すと倍率が上がりかなり難しくなると言われていた。
母親は合格が取れそうな学校に出願する方がいいかと迷ったが、塾に紹介された学校は、合格体験のためだけに行くにはあまりにも遠く、本人も受験をする気持ちにはなれず、結局そのまま第一志望校の3度目の入試を受けることにした。
暗い表情で出てきた子どもが、繰り上がり合格を聞いて涙を…
そして迎えた2月3日、「これがダメなら後がない」と思いつめてB子さんを試験に送り出した数時間後、母親のスマホが鳴った。
「B子さんの保護者の方ですか? 〇〇中学です。おめでとうございます。繰り上がりで合格になりました」
電話は「補欠合格」だった第二志望の学校からだった。スマホを持つ手に力が入る。
「本当ですか! ありがとうございます!」
第一志望校最後の入試を終えて出てきたB子さんは、手応えがなかったようで暗い表情だった。しかし母親が繰り上がり合格を伝えると、B子さんは一気に笑顔になり大粒の涙をこぼした。
2月の1日から3日は、関東圏の中学受験家庭の多くにとって1年で最も長い日だ。今宵もきっと多くの家庭で夜の作戦会議が開かれるだろう。受験は最後まで分からない。本人のやる気がある限り、最後まで挑戦する我が子を見守ってあげてほしい。
