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カリーニングラード 施工請負会社は破産

 カリーニングラードは、かつてドイツに属し、ポーランド領を経て現在はロシアの飛び地という数奇な歴史をもつ場所だ。スタジアムの建設も一筋縄ではいかず、当初施工を請負っていたモストヴィッチ社は建設の途中で破産。ロストフ・アリーナと同じクロッカス・グループが、急遽工事を引き継ぐことになった。ベースとなっているのはヘルツォーク&ド・ムーロンの傑作アリアンツ・アレーナ(ミュンヘン)だが、実際のカリーニングラード・スタジアムの規模はその半分程度で、見た目も工事中のアリアンツのような雰囲気が否めない。

カーリニングラード ©共同通信社

フィシュト 高さがありすぎる観客席

 隆起した屋根が印象的なフィシュト・スタジアムは、ソチ五輪のメイン会場でもあったので、覚えている方も多いのではないだろうか。五輪後、同スタジアムはW杯のためにサッカーに特化したスタジアムへと改装された。ただし、この改装によって五輪時に明らかになった問題がすべて解消されたわけではない。たとえば、高さと強風によって試合よりもスリリングな体験ができると評判になった観客席(最後列は20階建てのビルに相当する)はほぼそのままの形で残されており、W杯でも同じスリルを味わうことができそうだ。

フィシュト ©JMPA

エカテリンブルク・アリーナ 急勾配吹きさらし

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 エカテリンブルクでは、1950年代に建設されたスターリン様式の旧スタジアムを、W杯のために大幅改装した。ファサードはオリジナルのままだが、屋根が架けられ、ゴール裏には1万人分の観客席が仮設された。この地上40メートル、急勾配かつ吹きさらしの観客席は、現地でもさんざんネタにされている。上のフィシュト・スタジアムといい、ロシアでは観客席にスリルを求め過ぎではないだろうか。あるいは、客席での泥酔や乱闘を予防するための深慮遠謀なのか……。24日には日本・セネガル戦が行われる予定だが、現地で観戦される方はくれぐれも転落にご注意を。

エカテリンブルク・アリーナ ©iStock.com
地上40メートルの観客席はスリル満点!? ©時事通信社