なぜ、どのような経緯で高額療養費の負担上限引き上げが政府方針となったのか。厚労省が提示した上限引き上げの案を議論したのが、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会だ。高額療養費制度の議論が出たのは、昨年11月21日の会議が最初だった。
そこから僅か4回の会議を経て、上限引き上げの案は「審議会の了承を得た」として、12月13日には議論の場を自民党の社会保障制度調査会などに移している。最終的に12月25日に行われた福岡資麿厚労相と加藤勝信財務相の大臣折衝に持ち込まれ、25年度予算案にも反映されることになった。
現役世代への調査や検討は「全然なかった」
医療保険部会の委員が匿名を条件に明かす。
「高額療養費の話題は昨年11月になって急に出てきて驚きました。それで、あっという間に決まってしまった。4回と言っても、最初はざっくりした仮定が提示されるだけで、具体的な引き上げ額が出たのはもっと後。本当に議論できたのは2回くらいです」
がん患者など、長期にわたって高額療養費制度を利用する現役世代への調査や検討は、「全然、全然なかった」のだという。拙速な形で上限引き上げを方向づけた審議会の議論については「忸怩たる思いがあります」と後悔を滲ませた。
2月5日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および2月6日(木)発売の「週刊文春」では、『「私たちを殺さないで」誰ががん患者の希望を奪うのか』と題した4ページのレポートを掲載。4回の会議の裏側など高額療養費の上限引き上げを政府方針とするに至った詳細な経緯のほか、診療報酬など医師会の利権が温存されている実態、さらに福岡氏や加藤氏と医師会の蜜月ぶりなどについても詳しく報じている。
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