石破政権が推し進めている高額療養費制度の負担上限引き上げを巡り、がん患者の団体などから不安の声が上がっている。
そうした中、上限引き上げの案を議論した厚労省の有識者会議の委員が「週刊文春」の取材に応じ、拙速な形で進んだ議論について「忸怩たる思いです」などと答えた。丁寧な議論が行われないままに上限引き上げが方向づけられていたとすれば、今後の国会審議にも大きな影響を与えることになりそうだ。
上限を3年かけて引き上げていくことを閣議決定
高額療養費制度とは、手術を受けたり入院したりして医療費が高額になった場合でも、患者の自己負担額を抑える仕組みだ。年収に応じて月ごとの負担上限額が設定されている。
「石破政権は昨年末、社会保障費の抑制策として、高額療養費の上限を2025年度から3年かけて引き上げていくことを閣議決定した。これによって、年約1600億円の公費を削減できるとしています」(政治部デスク)
政府案によれば、3段階の引き上げを実施し、最終的に年収650万円~770万円の層では、現行の月8万100円が、13万8600円まで大幅に増額されるという。これを受け、全国がん患者団体連合会(全がん連)が患者や家族らに対して行った緊急アンケート(1月17日~19日)では、「スキルス胃がん患者です。小さな子どもがおり、この子を遺して死ねません」(20代女性)などと悲痛な訴えが数多く寄せられた。