またAくんと母親は、イジメがあった事実や「いじめ重大事態」と認定されて調査が行われていることを説明する文書を同級生やその保護者に対して配布してほしいと学校に伝えてきたが、卒業を間近に控えた現在まで実現していない。
イジメについての文書を配布してほしいというのには理由がある。
「Aが4年生でイジメを受けた時、学校は加害児童のBに他の学級に移る提案をしたのですが、断られています。そのため、今度はAが他の学級に移るのはどうかと提案されたんです。Aの意思を確認すると『他学級での学習はしない』というので、学校に断りの連絡をしました。ただその日、教頭先生が別のクラスでAの名前を出して『このクラスで学習するかもしれない』と話していたんです」
「Aはもうすぐ卒業してしまいます。なんとかその前に…」
その後、Aくんの母親は学校と話し合い、Bが他のクラスに移ることを提案してもらい、Bの保護者も一度は了承し、最終的にBは保護者の希望で別室登校となったという。
「Aが4年生の12月に不登校になって以来、初めて学校に行った翌年3月9日に、担任にはイジメがあったことを同級生に説明するように求めていました。しかし結局、担任はイジメのことは触れずトラブルを回避するためという説明をしたんです」
Aくんの母親はその後も、学校側に対して、きちんとした説明をクラスにしてほしいと願っていた。しかし現在まで、学校側から公式にAくんが受けたイジメについての説明は行われていない。Aくんの母親がイジメを説明した文書の配布を希望しているのはそのためだ。
「Aはもうすぐ卒業してしまいます。なんとかその前に、この学校でイジメがあり、いじめ重大事態と認定され、現在まで第三者委員会が調査している事実を公表してほしいと思っています。学校側は『過去に新聞などで報道された記事と結びつけられて取材が来てしまう』と言うのですが、いじめの事実を風化させたくはないですし、加害者には粛々と受け止めてほしいと思っています」
