飛行機という牢獄

 隈 ちなみに成田さんは今、1年の半分はアメリカにお住まいですか?

 成田 はい、次も明後日アメリカに飛びます……。

  それは、なかなか大変な生活ですよね。

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 成田 でも、移動距離は隈さんのほうがぜんぜん上なのではないかと。

  ただ僕の場合、毎回違う場所なので、エンジョイしようと思えばできなくもない。同じ移動を反復する方がキツいよね。

 成田 東海岸は遠すぎますし……。飛行機の中ほどつらい建築空間もあまりないです。乾燥機に閉じ込められたような。

  そうですね。

 成田 飛行機の中の空間ってスタイルが長らく変わってないですよね。

  でも、一応うちがデザインしたのもあるんだよ。ANAのロンドン便と、今はニューヨーク便も飛んでいるんじゃないかな。

 成田 ニューヨーク便は僕も乗ったことがあるかもです。どこをデザインされたんでしょうか?

  おもにビジネスクラスとファーストクラスのレイアウトも含めたインテリアですね。「THE Room」はANAのビジネスとしては初のドア付個室型シートになっていて、ほとんどファーストと同じです。

 成田 ビジネスでドア付個室ってあんまりないですよね。

  あんまりない。ANA以外ではエミレーツとかカタール航空にあるぐらいかな。

 成田 ただ、エコノミークラスがつらいですよね。

成田悠輔氏 ©文藝春秋

 あの空間を作り変えるとしたらどうされますか? エコノミーが一番ハードルが高いんじゃないかと。

  ハードル高いよね。でも例えば、バーラウンジみたいな広めのパブリックスペースをとって、座席を離れてくつろげる時間があったら、少し気分も変わるかもしれない。 ビジネスクラスにはそういうスペースがあるんだけど、本来はエコノミーの方にこそ必要かもしれませんね。(構成 伊藤秀倫)

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