経済学者・成田悠輔氏が“いま会いたい人”と縦横無尽にトークする新連載「成田悠輔の聞かれちゃいけない話」が、月刊誌「文藝春秋」でスタート。第2回は、建築家・隈研吾氏をゲストに迎えた。

 成田氏はまず、隈氏の「仕事の振れ幅」の大きさに注目。歌舞伎座や国立競技場など、東京を象徴するビッグプロジェクトを担う一方、北海道の町の小学校まで手掛ける、その“雑食性”について、隈氏は次のように説明した。

「自分自身の好奇心を大事にするというのがまずあるんだけど、ある種の社会学者的なリサーチという部分もあります。僕はもともと横浜で普通にサラリーマンの息子として育ったせいか、田舎の人のたくましさに惹かれるんです」

ADVERTISEMENT

隈研吾氏(右)と成田悠輔氏 ©文藝春秋

「腐食・カビ」トラブルへの回答は?

 隈氏は木材をふんだんに取り入れた建築を得意とし、木という素材の魅力を探求してきた。その活動の場は日本国内にとどまらず、50を超える国々でプロジェクトが進行しているという。

 昨年には、隈氏が手掛けた公共建築の木材の一部が腐食したり、カビが生えたりしたケースが報じられ、その耐久性についてSNS上でも批判が出た。

隈研吾氏 ©文藝春秋

「そもそも木造建築が世界的に脚光を浴びたのは、コンクリート建築は地球温暖化の原因になるから、その替わりとしてなんです。それで2000年ごろから、ヨーロッパでも日本でも政策的な後押しもあって、木造建築が急激に伸びた。その木造建築も、地球温暖化の論理だけで全て防御できるわけじゃなくて、炎上の対象にもなるんですよね。木材も生き物なので経年劣化する部分はあるわけだから、一部分だけ切り取れば、必ず炎上的な要素を含んでいるわけです」(隈氏)

 成田氏から、今回の事態を通じて意外だった発見、後悔や反省があったかと尋ねられ、隈氏は次のように話した。

「木造を大規模な建築で使うようになって、まだ20年ほどですから、いわば実験段階なんですよね。その中でいろんなことが今起こっている。今、そういう模索の期間です」

成田悠輔氏 ©文藝春秋

 対談では、この「実験段階」から得た教訓、炎上する宿命を持つ建築家の歴史、さらにはAIと建築の関係まで話が及んだ。対談の全文は「文藝春秋」3月号(2月10日発売)に掲載。月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」では、「1万7000字ノーカット完全版」が2月9日から先行公開されている。