「私は、この体型だからええんや」体重60キロでダイエットをやめた理由
――その状況から、どうやって抜け出したのでしょうか。
あやの あるとき、母が「これなら食べられるんじゃないか」と、うどんを作ってくれたんです。最初は、「小麦なんて食べたら太ってしまう」と思って、口をつけるのを躊躇していました。
でも、いざ口に運んでみたら「ご飯って、こんなにおいしいものだったんだ」と感動して、自然と涙が溢れてきて。それから少しずつ食事ができるようになり、体重も戻っていきました。
――体重が戻るのは、怖くはなかったでしょうか?
あやの もちろん、不安はありました。でも、少しずつ体重が戻っていくにつれて、身体はもちろん、心も元気になっていったんですよね。
振り返ってみたら、体重60キロ前後のときが心身ともに調子がいいと気がついて、「私は、この体型だからええんや」と受け入れられるようになりました。今は、極端に体重が増えないようには気をつけてはいますが、「痩せなきゃ」というプレッシャーからは解放されています。
SNSの普及で極端なダイエット方法や広告を目にするように
――あやのさんがSNSで体重をオープンにした上で、自分の価値観や体験を発信しているのは、過去の自分と同じように悩んでいる人に届けたいからなのでしょうか。
あやの そうですね。こんな時代だからこそ、「どんな体型でも、自分次第でいくらでも幸せになれる」ことを伝えていきたいな、と思っています。昔から「痩せている=きれい」という価値観はありました。でも、SNSが普及してからはより極端なダイエット方法や広告を目にする機会が増えたな、と思っていて。
そういった影響からか、極端な「痩せ」の価値観に囚われ、追い詰められている人が増えているように感じるんです。「痩せてきれいになりたい」「健康的になりたい」という気持ちはすごく分かるのですが……。
――最近のSNSを見ていると、体型や容姿に関する新しい「基準」も増えているように感じます。
あやの 骨格診断やパーソナルカラー診断、「ギャザー顔(顔のパーツが中心に集まっていて余白の多い顔を指す言葉)」や「中顔面(ちゅうがんめん、目の下から上唇までの長さを指す言葉)」など、容姿を評価する新しい物差しが次々と生まれていますよね。
私が小学生の頃は「デブ」とか「ブス」といった単純な言葉で傷つけられました。でも今の若い人たちは、もっと複雑な基準の中で自分の見た目を判断されてしまう。私が今の時代の高校生だったら、正直しんどいなって思います。