フジはどこまで知っていた?
石戸 よくフジテレビ側も了承したなと思いました。
太田 それはお互いに信頼関係がありますから。『爆笑ヒットパレード』は、昔は爆笑問題がMCをやっていた時期もあるので、関係が長いんです。波紋を呼んだくだりも、番組側には事前に「オールドメディアについてのくだり」になることだけ伝えていました。
石戸 箸の上げ下げまで事前に共有することはない、と。テレビ局側も芸人たちのネタを尊重しているんですね。
太田 はい。最近は爆笑問題だけでなく、時事ネタをやる芸人が増えてきているので、「ネタ被り」を避ける目的もあり、キーワードで大まかなくだりを共有しています。でもネタの一つ一つのやり取りについては芸人にお任せ頂いています。
石戸 元日は帰宅した光さんになんて伝えたんですか?
太田 「面白かったよ」と、一言だけ。ネタに対して何かを言うのはとても繊細なことだから、普段は感想もほとんど言わないんですけどね。でも、私から見ても去年の爆笑問題はいつにも増して新ネタを書き、ステージに立ち続けていました。
10月くらいから、2時間休みなく漫才をするWOWOWでの『爆笑問題のツーショット』の準備を始めて(2024年11月収録)、年明け1月3日のNHK『新春生放送!東西笑いの殿堂』まで、休みなしで走り続けるように仕事をしていたんです。
石戸 2人とももう還暦なのに、毎年いくつもの新ネタを生放送でおろしつづけているのが爆笑問題の凄さ。
太田 時事ネタは「足が早い」ので、毎回のようにネタを変えなくちゃいけないんです。その特番の1回しかできない漫才もあるんですよ!
石戸 “ネタを捨てていく”辛さがあるんですね。
太田 ウチで一番古株の爆笑問題がすべての特番で違うネタをやるもんだから、下の世代もそれに続かないといけない。ウエストランドのネタ作り担当の井口(浩之)なんかはブーブー言ってます(笑)。
石戸 そんなウエストランドも昨年は“いろいろ”ありました。
太田 あのときは大変でしたね。本誌での私の連載も一体どうなることかと……。
太田光代氏の本記事全文は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています。全文では、ウエストランドの“流血沙汰”、光代氏が主導で行った「タイタン危機管理講習会」、タイタンが学校を作った理由、学校で書道を必修にしている理由、タイタンの「後継者」への想いなどについても語られています。
■連載「お笑い社長繁盛記」
第1回「爆笑問題の忘れられない日」
第2回「爆笑問題『復活ライブ』の秘策」
第3回「立川談志と太田光『銀座のバーで修羅場』」
第4回「宗教二世に生まれて」
第5回「M-1優勝 ウエストランドのチン騒動」
第6回「芸人トラブルこそ社長の出番」
第7回「SMAP育ての親と秘密の晩餐」
第8回「事務所快進撃と裏腹の不妊治療」
第9回「太田を悩ませる田中の脳とタマ」
最終回「コンプラ研修に全員集合!」
番外編「『日枝、出てこい!』太田光絶叫の舞台ウラ」

