コース攻略のためのヤーデージブックも手作りしています。B6のノートに私がコースマップを手描きし、ショットの記録を付ける。それに娘がクラブの番手や距離、気付いたことを書き加える。「176y 左アゲU4かるめ」とかね。もう100冊以上になります。

「176y左アゲU4かるめ」などと書かれたヤーデージブック

脳梗塞で倒れた日のスコアは…

 ただ、私が2023年の夏に倒れましてね。北海道meijiカップ2日目のスタート直前、会場のトイレの前で急にぼうっとして体が思うように動かなくなり、意識が薄れていった。脳梗塞でした。志帆は試合を終えて、すぐに病院に駆けつけてくれました。その大会は12アンダーの2位という好成績。周囲からは「お父さん、倒れたほうがいいんじゃない?」とからかわれました(笑)。

桑木志帆選手の父、桑木正利さん(67)

 技術だけでなくメンタル面の成長も感じます。昔はミスショットをするとよく悔し泣きしていましたが、我慢強くなった。もっと上のレベルで戦っていくために私が出来ることはもうあまりないかも知れませんが、これからも娘の成長をそばで見守っていきたいと思っています。(取材・構成/松浦達也)

※本記事は「文藝春秋」2025年3月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」に掲載されています(ゴルフ春秋 第1回)。
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