生き残る秘訣は「責任を負う勇気をもつ」
今井 あともう一つ言えるのは「人間は責任の盾である」ということ。いろいろな企業で生成AIは導入されていて効率は上がっていますが、ほとんど人は減っていません。なぜなら仕事に責任を負えるのは人だけだから。
究極的には経営者が生成AIを使えばほとんどのことができると言われていますが、そうなったときにAIが何かやらかした際の責任が全部一人に直撃してしまう。結局は使う人がすべて確認できる程度の作業量でないと、怖くて業務で代替できないわけです。
牛尾 わかります。僕も基本的にAIは嘘をつく可能性をつねに考慮に入れながら使っていますし。参照先の原文や公式の見解は必ずチェックしていますね。それが仕事で使ううえでの責任ですし。
今井 つまるところ、AI時代を生き残るには、「責任を負う勇気をもつこと」「ニッチでもいいからある部分で人間世界のトップクラスにいくこと」だと思います。牛尾さんの本には、普通の人がどうやったら専門性を極めてトップクラスにいけるかが書いてありますよね。
ソフトウェアエンジニアってめちゃくちゃ細かく分野あるから、ある分野とある分野を同時にできるのは俺しかいないみたいなことがけっこうできます。僕ならポケモン大会世界7位で、かつAI研究者ですけど、これはたぶん人類史上僕しかいない(笑)。
牛尾 レアな掛け合わせって絶対に強い。お話を聞いて、AIの進化にビビる必要はまったくないし、ニッチを極められるよう着実に自分を変化させていけば大丈夫という勇気が湧いてきました。今日は非常にスリリングな話をありがとうございました。
今井 こちらこそすごく楽しかったです。ありがとうございました。
(青山ブックセンターにて)
