日枝氏と政治権力(安倍氏)の近さ

 新刊では産経新聞について書いたコラムにも物言いがついたのだが、編集者が朝日新聞だけでなく産経新聞の批評も載せるべきだと頑張って通してくれた。上からはそれなら東スポの「フジテレビ葬」部分はカットしてほしいとのことだった。もしかしたら当時から気にしていたのだろうか。この経緯については編集者からどこかで書いてもらって構わないと言われていたのだが、今回思い出した。 

 先述したように大島監督はフジテレビの国葬問題をズバリ指摘したが、私も上記のようなエピソードを思い出してハッとしたのだ。つまり日枝氏と政治権力(安倍氏)の近さである。フジサンケイグループにとっては今でも急所の一つなのだろう。そこを言われると報道を持つメディアとしてそもそもどうなの? という大きなテーマにもなるからだ。 

産経にはかつて合同結婚式の広告が載ったことも

 3年前に文春は『日テレ高視聴率でもフジが統一教会を報じない理由』(8月18・25日号)として、

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「現在もフジサンケイグループの代表を務める日枝久氏は、安倍晋三元首相と会食やゴルフを重ねるなど親しい間柄。また、産経にはかつて合同結婚式の広告が載ったこともありました」

 というフジ局員の証言を載せていた。フジテレビ問題とは日枝問題でもあるのだ。 

フジテレビ ©︎時事通信社

 ちなみに東スポが「フジテレビ葬」と書いた記事は、当時のSNSの反応をまとめたものだった。

《ネット上では島田アナの起用とともに見事なまでの安倍氏のお見送りに国葬ではなく、“フジテレビ葬”とも揶揄されるほどだった。》 

 つまりSNSでは国葬の司会をフジテレビアナがやるという関係性やおかしさについてバレバレだったのである。いかがだろうか。こうなった今、フジテレビは国葬や日枝問題についても検証をしたらどうだろう。変わるきっかけになるかもしれない。若手・中堅や現場の人たちには期待したいのだ。

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