太田 要するに画像をいじっているんですよね。自衛隊のF-16Jに見せかけているんだけど、たまたまカラオケ用のビデオ撮影中に映っていた機体を解析したら、どうも自衛隊の装備しているF-16Jじゃないと。

小泉 画像解析が進んで、ピーピーピーとだんだんここの部分が拡大されて……。

太田 尾翼がカットされてて、主翼の平面形も異なる。エンジンもベクタードノズルが付いていることが判明してきて、最初は自衛隊の部隊反乱かと思われてるんだけど、これがカギになってくる。

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ここまで突っ込んで「有事」を描いたアニメはなかった

小泉 これは高橋先生にお持ちいただいた……。

高橋 レーザーディスク版のパンフレットですね。

機動警察パトレイバー2 the Movie [Blu-ray](画像:Amazonより)

小泉 これ、すごいのが、あの軍事オタクみんな大好き「幻の空爆」のシーンで流れる、インターセプト(邀撃)の無線通信が全部載ってるんですね。

太田 ちょっとだけ解説すると、自衛隊の防衛システムがハッキングされて、実際には飛んでいない飛行機が東京の上空に侵入しつつあると誤認してしまうシーンですね。それに対し、自衛隊のF-15J(改)が、幻の敵を追ってスクランブルするという非常に緊迫した場面で。この場面、小泉さんはソラで全部言えるとか。

小泉 言えるんですけど、前、空自の人たちと飲みにいった時に、僕酔っ払ってテンション上がってこの話を始めたら、じつはその場にいた人がほとんどGCI(地上要撃管制)出身で。「やって見せてよ」って言われてやったら、……「ウチはそうはいわないかな」って。針のムシロ(笑)。このシーンで僕が本当に天才だと思うのは、東京コントロールが、「民間機を全部大阪に回せ!」といっているところですね。なるほどね、東京上空でこれ始まったら民間機の避難ってあるよね、と膝を打ちました。ここまで突っ込んで「有事」を描いたアニメはあんまりなかったと思うんですよね、当時。

高橋 で、しかもそこは自衛隊からの連絡じゃなくて、自前のレーダー見て。

小泉 自前のレーダー見て判断してるんです。あのシーンは「官」の戦争に対して「民」はこう戦うのか、と思いました。すごいシビれましたね。