くさの 夫の不倫が発覚する3ヶ月前に、子供が治療法のない希少疾患だと告知されてどん底に落とされたのですが、これより最悪なことがあるのかと。さらに絶望することになるとは、思いもよりませんでした。

 息子の病気は悲しかったけどしかたがないと思えました。でも、夫は自分の意思で家族を裏切っている。その事実に対して激しい怒りが湧きました。その晩は本気で「こんなことが起きている人生の延長線上を生きるのは嫌だ、死んで終わらせよう」と思いました。そのまま死んでいたら最強の怨霊になっていたと思います。

想像を絶する夫の裏切りに、息子と一緒に心中することを考えるほど追い詰められたという

自分の子の命を危険に晒した夫への怒り

――生きていてくださって本当によかったです。そのほかにも、夫さんからの信じられない仕打ちがたくさん描かれていますが、一番許せないことはなんでしょうか。

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くさの どれも死んでも許さないし、化けて出るつもりですが、子供が発熱で亡くなる可能性の高い基礎疾患を持っているとわかった後も、新型コロナ感染症が流行るなかで女性を買ったり会ったりするのをやめていなかったことです。後でわかったことですが、女性からコロナをうつされていたこともあったようです。

 守るべき自分の子の命を父親自らが危険に晒し続けていたことが、はらわた煮え繰りかえるほど許せません。それによって、子供が信頼し合う家庭で育つことができなくなったこともです。

――そんな辛い体験をSNSで発信しようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。

くさの 夫の凄まじい性依存症、子供の超希少疾患と自分に起きていることが大きすぎて1人では抱えられないと思ったからです。

我が子に「世界で30人以下しかいない」という希少性疾患が見つかったことも、くさのさんを苦しめた

 ちょっとしたことなら友人に「聞いてよ! こんなことがあったんだよ!」と話をして発散させることも多いですが、身近な人に話すには重い内容だったので、SNSで不特定多数の知らない人に向けて発信することで、気持ちを整理できるのではないかと思いました。

 漫画を見てくださった方はどう感じるのか、どのような意見を持たれるのかを知り、出来事を多角的に見られるようになって少しでも解決や癒しにつながらないか、という期待もありました。

――ご自身のためでもあったんですね。

くさの 漫画にすることによって、自分と出来事の間に少し距離を置きたいというか……。ただダメージを受けているだけではなく何か形にして、自分の中から取り出したいという感覚があったからです。

 あとは、夫は本性を知られるのを嫌がっていたので、ならばやってやろうという嫌がらせでもあります。

――復讐でもあると。実際、公開してみて反響はどうでしたか?