政治の中心地、東京・霞が関から“マル秘”政界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
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インサイダーの“余波”
昨年末、金融庁で発覚したインサイダー事件が波紋を広げている。
出向中だった裁判官が株式公開買い付けの書類審査担当の立場を利用し、不正な株取引を行ったことが明らかになった。コロナ禍以降は金融庁でもテレワークが普及し、この元裁判官もほとんど職場に出勤していなかったといい「同じ課でも会ったことがない人もいた」(金融庁幹部)。皮肉にも周囲の目を気にしない「新しい働き方」が温床となった格好だ。
事件を受け、元裁判官が所属した当時の企画市場局で局長だった井藤英樹長官(昭和63年、旧大蔵省)が戒告処分に。煽りを受けたのは現企画市場局長として戒告を受けた油布志行氏(平成元年、同)だ。
井藤氏は今夏の定期異動で勇退が有力視される。かねてから、長官候補には伊藤豊監督局長(同)と油布氏の2人が挙がっていた。もっとも伊藤氏は昨夏時点で長官昇格が有力視された「大本命」。かつて金融行政で辣腕を振るった森信親元長官(昭和55年、同)が現長官の井藤氏を推したことで、就任が見送られた経緯がある。
同期入省の伊藤、油布両氏だが、歩んできた経歴は対照的と言えそうだ。
かつての金融監督庁にも籍を置いた伊藤氏だが、本省では主計局で主査を務めたほか、主税局では消費税など間接税を扱う税制二課の課長などを歴任した万能タイプ。2015年からは秘書課長として、当時の福田淳一次官(57年、同)のセクハラ問題や森友事件の対応を一手に取り仕切り、その名は永田町にも知れ渡った。秘書課長在任は異例の4年に及び「将来の財務次官の目もあった」(同省幹部)が、2019年に自らの希望で金融庁に転じた。
※本記事の全文(約5500文字)は「文藝春秋」2025年3月号と、「文藝春秋PLUS」に掲載されています(霞が関コンフィデンシャル)。記事全文では下記の内容をお読みいただけます。
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