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ロシアの情報工作に対抗するNAFO(北大西洋同志機構)
ロシアによる偽情報工作に対する、ネット上の抵抗運動から生まれたミームも存在する。NAFOについては、以前文春オンラインでも「ウクライナ国防省が『柴犬兵士』の雑コラに感謝を表明? 注目される『NAFOの戦争』とは何か」でお伝えしたが、柴犬のコラージュ画像を武器にネット上でロシアの偽情報工作に対抗する「fellas」と呼ばれるウクライナ支援者達による勝手連グループのことだ。
ロシア政府関連アカウントによる偽情報拡散が行われた際、彼らが柴犬ミームのコラージュ画像を投稿することでロシア側のナラティブが拡散するのを妨害している。これはミームが象徴以外にも、実用的な手段として使われている例だ。
ロシア兵の洗濯機略奪をユーモアで広めるプロパガンダ
この戦争では数多くの戦争犯罪が明らかになっているが、戦争初期に目立ったものがロシア兵による略奪行為だった。特に民間人の家から家電製品が多く略奪されたことが報じられている。家電の中でも大きい洗濯機の略奪は目立つし、それらを運ぶ軍用車両という絵はシュールな側面もあるからか、多くの関連ミームが生み出されている。
このミームは、ロシア軍による略奪行為を哄笑すると同時に、それらの犯罪行為を広く知らしめ共有する機能を有している。
馬鹿馬鹿しいと思われるかもしれないが、戦場で起きている犯罪をユーモアにより可視化し、広く侵略国による戦争犯罪を国際的に知らしめるという意味で、昔からある伝統的な戦争プロパガンダの役割を今も担っているといえるだろう。

