高齢ドライバーの事故が後を絶たない。家族は不安を募らせるが、当の本人は「まだまだ大丈夫」と言い張る。こんな状況に頭を悩ませている人は少なくないだろう。

「義父はずっと自営で建設の仕事をしていて、昔からハイエースで現場を回っていました」と語るのは、群馬県在住の40代女性、竹下さん(仮名)だ。75歳の義父は今でも1日500kmの運転をこなすという。

©AFLO ※写真はイメージです

「私としては、正直そろそろ衰えを自覚して、今後のことを考えてほしいのですが」と竹下さんは不安を隠せない。

ADVERTISEMENT

運転能力を客観的に評価する機会を設けよう

 しかし、年齢だけを基準に免許返納を考えることには疑問が残る。警察庁の統計によれば、65歳以上は年齢が上がるにつれて事故率が高くなる傾向にあるものの、65歳以上よりも30歳未満の方が事故を起こす確率が高いことも明らかになっている。

年齢層別・免許保有者10万人あたりの交通事故件数(2023年)

 

 そこで重要になるのが、運転能力を客観的に評価する機会を定期的に設けることだ。JAFのホームページでは、認知機能検査と同形式のテストや、状況把握などに関する簡易的な診断テストを受けられる。

 また、任意保険会社が提供しているドラレコ付きプランも有効かもしれない。「おそらくまだ大丈夫そうだが、いつまで運転できるか不安」という場合、こうしたプランを活用することで、日常における急な加減速やふらつきなど、危険な運転に対して随時アラートを受け取ることができる。さらに、定期的に運転の安全性について評価・レポートしてくれるサービスもある。

プライドの高い義父の運転が…

 茨城県在住の50代女性、寄田さん(仮名)は、81歳の義父について「車に細かいキズやヘコミが増えているんですよね。プライドが高い人ですし、ぶつけたところはすぐに直すタイプだと思うのですが、気力が衰えているのか、そもそもぶつけたことに気づいていないのか……」と心配する。

 運転免許の返納は、すぐに答えを出せるような問題ではない。家族や周囲と段階を踏んで話し合っていく必要がある。まずは現状の運転能力を客観的に評価し、把握していくことから始めよう。それが、本人の自覚を促し、家族の不安を和らげる第一歩となるはずだ。

81歳の義父が3年前にクラウンを買いました。でも最近、車にキズやヘコミが増えてきているようで不安です。やっぱり免許返納を考えてもらった方がいいですよね?

 

高齢の親の運転に不安を感じる人々の切ない嘆き――。家族間で避けて通れない課題である免許返納問題。60代男性の中本さんが語る、遠方の過疎地に住む86歳の義父について切迫した思いとは。

 

記事を読む

75歳の義父が「旅行で1日500km運転した」と自慢しています。正直そろそろ衰えを自覚してほしいのですが、夫に言っても取り合ってくれません。どうしたら返納を考えてくれますか?

 

本人としてはまだまだ運転できる気でいるのに、家族からいきなり免許返納の話を持ち出されては、プライドが傷ついてしまったり、あるいは必要以上に意固地になってしまったりすることも……。

 

記事を読む