かつてキリスト教の禁教期に多くのキリシタンが弾圧から逃れるため、その身を潜めたとされる長崎県五島。
潜伏キリシタンの地として数多くの教会を巡礼でき、観光地としても人気のエリアだが、実は釣り界隈でも、五島は「聖地」として多くの人々からあこがれられる地である。
長崎県の西部に位置する五島は152の島々からなり、黒潮の分流である対馬海流の恩恵で一年を通して水温が高いため、青物御三家(ブリ、ヒラマサ、カンパチ)の他、堤防からでもメジナやマダイ、イシダイなどが釣れる夢のような釣り場が点在している。
そんな私も堤防から40cmを超える巨大なアジを求めて、たびたび上五島(中通島)へ訪れてはアジ釣り欲を満たしてきた。2024年12月、現地の知り合いに誘われて訪問することになったのだが、今回、宿泊先を調べていたところ、一風変わった釣りができる民宿を見つけた。どうやら海上に浮かぶ漁業の作業小屋を宿泊者に貸し出してくれるのだそう。
紹介文にはアジが釣れますと書かれているが、五島の環境……アジ以外も釣れるのではないだろうか……。自分で確かめてみたい好奇心に駆られて宿を予約した。一体どんな魚が釣れるのか、今回は上五島の入り江に佇む「釣りができる民宿」に宿泊した様子をレポートしていく。
飛行機とフェリーを乗り継いで夢の島へと向かう
筆者の住む千葉県から五島への移動方法は、福岡経由と長崎経由の2通り。福岡経由は羽田・成田空港で福岡空港へ向かい、電車で中洲川端駅まで行き、博多港まで徒歩で向かう。博多港からはフェリー太古(野母商船)で宇久島・小値賀島・中通島(青方)・奈留島・福江島など、五島の各島々へ渡島できる。
長崎経由の場合は、羽田・成田空港から長崎空港に向かい、空港から佐世保港か長崎港行きのシャトルバスに乗る。佐世保港からは九州商船で宇久島・小値賀島・中通島(有川)へ渡島でき、長崎港からは同じく九州商船で中通島(有川・奈良尾)・奈留島・福江島へ渡れる。それぞれ着岸港が違うため目的の島に合わせてルートを決める必要がある。
最短で行くなら高速船を有する長崎経由だが、今回は博多港発のフェリー太古を選んでみた。博多港を23時45分に出発し、中通島へは早朝に到着するため、船内で一夜を過ごすことになる。船室のグレードは、カプセルホテルのような一人が横になれる寝台タイプを選んだ。
時間の限り寝てもよし。ラウンジで食事やお酒を楽しみながら一夜を過ごすのもよし。
深夜ということもあり、ビールを一杯飲んだところで睡魔に襲われ、あっけなく就寝した。