鳥取県岩美町から京都府の丹後半島にかけた、東西120キロ、南北最大30キロのエリアはユネスコが支援する世界的な自然公園の制度「ジオパーク」に指定されており、青い海、そして、切り立つ崖が織りなすリアス式海岸からなる絶景が見られる。
そんな迫力ある景色に溶け込むかのように、人里離れた海岸線にポツンと佇む一軒の民宿がある。みたはま荘だ。一見ただの民宿に見えるが、海側から覗くとまるで違った一面を見せる。
ここからは、釣り人なら、いや釣り人でなくとも一度は泊まりたい“釣りができる宿「入り江の一軒家 みたはま荘」で過ごした3日間の釣り旅をレポートしていく。
漁業が盛んな町の外れに佇む“孤高の宿”
兵庫県の最北端、みたはま荘が位置する美方郡香美町は一年を通して漁業の盛んな町。エリア最大の港「香住漁港」では夏は白イカ(ケンサキイカ)、秋~春にかけては松葉ガニやベニズワイガニなど、日本海の海の幸が多く漁獲され、海鮮目的の観光客で賑わいをみせる。
車で香美町へ直行した私は、早速立ち寄った市場で漁業関係者の方にお話を聞いてみた。すると、訪れた7月はまき網漁や底びき漁が休業期間中で、あいにく市場に水揚げされる鮮魚が一年で最も少ない時期とのことだった。それでも白イカは最盛期で、遊漁船は県外からの釣り客も多く、連日予約でいっぱいだそうだ。
香住区の繁華街を抜け、さらに西へと走らせると、民家と宿が軒を連ねる県道4号線に繋がる。さらに海岸線の一本道に抜けたリアス式海岸特有のワインディングロードの先に、お目当ての宿がある。
人里離れた道路わきに現れる、景色に溶け込むかのようにひっそりと佇む宿こそ入り江の一軒家。これこそ、今回の目的地「みたはま荘」だ。
車から降りると山側から耳を塞ぎたくなるほどけたたましいセミの鳴き声が降り注ぐ。手厚い歓迎だ。海と山がまさに表裏一体となった光景。一瞬にして懐かしい夏休みの感覚を思い出す。駐車場から海を眺めても素晴らしい景色だが、部屋からの眺めはどうだろうか。胸を躍らせながら館内へと向かった。