庵野監督にとって「過去作=呪縛」
太田 やっぱり過去作をリスペクトの上に作られているというか……。
高橋 リスペクトなのか遊んでいるのかよくわからないんですけどね。
太田 自分の根っこに入っちゃってるっていうかね、もう分離できない。庵野さんはよく「呪縛」っていう言い方をしますね。『ウルトラマン』や『デビルマン』について。僕も『デビルマン』は小学校3年の時にマンガ版を読んで、もうこれで人生変わっちゃったっていうのは本当に思うんですよ。僕は『エヴァ』を観た時にはもう30歳を超えていたから、いくらすごいなと思っても、呪縛にはならなかった。でも10代の時に観て、『エヴァ』に取り込まれちゃったような人は当時もけっこうね……。
高橋 いましたよね。だから『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の最後に、エヴァを全部葬っていくというのは非常に象徴的な場面ですよね。
小泉 そうかあれは、『エヴァ』世代のなんというか総じまいみたいな位置付けなんですね。
高橋 だと僕は思うね。
小泉 ……観よ。
マライ 観るんですね?
小泉 ちょっと今観る気になりました。
マライ お、宣言しましたね(笑)。そういえば、私は『新劇場版』の一番最後に描かれる人間の社会が、興味深いなと思ってて、けっこう社会主義っぽいことをやってるんですね。
太田 コミューンみたいなことをやってましたよね。
マライ 農業をやっていて、で、男が力仕事をして……。
高橋 計画経済ですね。
マライ でも、なんかちょっと違和感がある。前も話したけど、絶対ドイツでは成立しないんだろなっていう気がする。和気あいあいで、みんな手をつないで、世界が崩壊して貧乏になったんだけど、ハッピーにがんばる! っていうのが。日本映画でもそういう描写が時々あったりするんですよ。昭和初期よもう一度みたいな……。
小泉 清貧が好きなんですかね。
