小学生で『ウルトラマン』に衝撃を受けて特撮映画ファンになった河崎実監督。大学時代に8ミリで『ウルトラセブン』の完コピ映画『√ウルトラセブン』などを制作した。次いで特撮番組のレジェンドに出演を依頼したが……。第一線で活躍する映画監督に、自主映画時代を振り返ってもらう好評インタビュー・シリーズの第8弾。(全4回の2回目/3回目に続く) 

©藍河兼一

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大学卒業後に作った『キリヤマ』

―― 『キリヤマ』という作品もありました。

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河崎 『キリヤマ』は、大学を出てどうしようかなと言っている時に、映画だけは作りたいから作ったという短編ですよね。

―― 中山昭二(注1)さんが出ていた。

河崎 そうそう。

―― 本人が特別出演的に冒頭で「『キリヤマ』という作品が出来るそうで、楽しみです」とかコメントして。本編のキリヤマ役は同級生にやらせたんだけれど。

河崎 で、内容が、キリヤマが単なるストーカーで。

―― 「なにっ」という名台詞を言う。

河崎 名台詞を言うだけで、ストーキングするっていうね。ちゃんとしたオチがある短編映画なんですけどね。ある意味『世にも奇妙な物語』みたいな感じだったな。

―― 中山さんご本人は、完成作を見てどんなことをおっしゃっていたんですか? 

河崎 電話したんですよね。「どうですか?」と言ったら、無言でしたね。『地球防衛少女イコちゃん』という僕のデビュー作に出てもらおうと思って電話したんですよ。そうしたら、ノーコメントでしたよね。

―― でも、『イコちゃん』に出演されましたね。

河崎 怒ってないですよ。よく分かってないんじゃないですかね。要するに、俺たちがレジェンドだと思っている中山昭二さんとか小林昭二(注2)さんとか森次晃嗣(注3)さんとか黒部進(注4)さんも、やっぱり子ども番組として演じているわけなので。本当にあんなに深い内容がウルトラシリーズにあるとは思ってないんですよね。だから、役者としてはすごい技術で演じたわけだけどね。それは後年になって俺の映画にいろいろ出てもらってから聞いて分かったことなんですけど。