明治大学を卒業後、CM会社に就職した河崎実監督だったが、当時は「ウルトラマンがラーメンを食べるようなバカ企画」がなかなか通らない。結果、会社を辞めてしまった河崎監督は……。日本映画界を第一線で支える映画監督に若き日を振り返ってもらう好評インタビュー・シリーズの第8弾。(全4回の3回目/4回目に続く) 

©藍河兼一

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『地球防衛少女イコちゃん』でプロデビュー

―― これは河崎さんが企画を持ち込んだんですか?

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河崎 もちろん。バンダイにプレゼンして、500万くれといってね。それで勝ち取って。オリジナルビデオだけど。だから、これが商業デビューになったんだよね。

―― 1本目は16ミリ撮影ですね。

河崎 16ミリ。スクーピックという記録映画用のカメラがあったの知ってる? あれ買って。

―― レンズは換えられないですね。

河崎 ズームしかないからね。まあ、これで十分だということで。で、買って撮った。ただ、仕上げはビデオなんですよ。フィルムの素材をビデオにして、合成はビデオ合成。

―― 現場的には自主映画とあまり変わらなかった?

河崎 完全に自主映画だよね。

『地球防衛少女イコちゃん』 ©バンダイヴィジュアル・KADOKAWA・リバートップ

―― でも、初めて人のお金で作った映画だったんですね。

河崎 そうそう。なんだか全然分からないわけですよね。香盤表とか予定とか。助監督は居るんだけど、学生の後輩なので。だから、ほんと恐ろしかったね。とにかく自分が全部両肩に背負って。新宿駅のホームに立ってる時に、あまりのプレッシャーで逆にハイになって、飛び込んじゃおうかな、みたいなね。

―― エッ?

河崎 もう命がけでやるしかない、そういう感じで全力で撮ったよね。

―― 科特隊本部みたいなところはセットでしたね。

河崎 あれはお金をかけたんですよね。

―― あれも自分で作ったんですか?

河崎 いや、あれはCMの時の付き合いのプロの人に頼んで。2面のパネルだけどね。