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最初からバカって言っておけば怒られない

―― そういうポジションの監督ってそれまでいなかったですよね。

河崎 俺はこういうキャラクターもののお笑い映画しか撮れないんですよね。しかもユルい笑いの。『ヅラ刑事』(06)とか。だから、企画ものですよね。出オチというか。

―― それは最初から狙っていたわけじゃなくて、だんだんそうなったんですか?

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河崎 俺も腐ってもプロなんで。まあ、ほぼ腐ってるけど(笑)。 

―― いやいや(笑)。

『ヅラ刑事』 ©「ヅラ刑事」製作委員会2006

河崎 ほんとほんと。やっぱり分かってきたわけだよ。人がどう俺を見るか。最初からバカって言っておけば怒られないし。だから、そういうポジションに行こうと思ってね。

―― 今、年2本ぐらい撮られているじゃないですか。

河崎 3本撮ってるね。

―― ああ、そうですか。

河崎 来年、俺の劇場公開作3本あるんだもん。

―― それだけ撮っている監督はあんまり居ないですよ。

河崎 あなたも撮ってるじゃないですか。

―― 僕はそんなペースじゃないです。

すべては人との出会い

河崎 それもスタッフというか、人のおかげですよ。もう亡くなったけど、叶井俊太郎という、『アメリ』を配給したプロデューサー。あいつが居なかったら俺も『いかレスラー』以降の映画は撮れてないし。

―― そこで確立した感じはありますね。

河崎 そうだね。あいつとの二人三脚で。実相寺監督との出会いもそうだけど、本当にすべての人との出会いですよ。家族もそうだけど。それに感謝して、バカなようだけど真面目にやってるっていうことしかないよね。俺、奇跡だと思うよね。俺が映画だけでやっていけるのは。

―― そうですね。

河崎 まあ、当然いろいろ大変なんですよ。裏ではいろいろ大変なことが起きているんだけど、やっぱり表面上は白鳥のように水面を優雅に。で、下ではもがいているというね。『巨人の星』の花形満が言ってたことですよ。