河崎 ただ、普通の監督が撮ったら10億円かかるじゃん。だから無理だったんだけど。わけの分からない監督だったら安く上げてくれるんじゃないかと思ったけど、ちょっと当てが外れたよね。
―― でも、ビートたけしさんが出てましたね。声だけ?
河崎 いやいや。声とキャラクター権と。
―― タケ魔人の顔は相当本人に似てましたもんね。
河崎 だから、俺はそういうキャスティングの人なんだよね。無名の人ばっかりでいい映画が作れる監督も居るじゃないですか。『カメラを止めるな!』とか、最近の『侍タイムスリッパー』もそうだけど。俺は違うんだよね。誰が出てるんだ、ってことが大事。
キャスティングが企画の肝
―― キャスティングで企画が決まる的な? 企画ありきのキャスティングですよね。
河崎 企画があって。例えば最新作の『松島トモ子 サメ遊戯』っていうやつも、これはサメのゲームのプロモーションビデオを作るはずだったんだけど、じゃあサメに襲われる役は誰がいいかなといったら、ライオンとヒョウに食われた松島トモ子さんでいいんじゃないかって。松島トモ子がオーケーしてくれたから企画が転がっていくという。
―― なるほど。ポスターのビジュアルとタイトルとキャスティングで、それだけで河崎さんの映画のすべてが伝わってくる感じがありますよね。
河崎 そうだね。今日、ヨネスケさんが『徹子の部屋』に出て、俺の『突撃!隣のUFO』(23)っていう映画の話をしてくれてね。この人がUFOに突撃するっていうだけの映画だから。これで俺の好きなUFOのネタができる、っていう。
―― 必ず怪獣映画エッセンスは入ってきますよね。
河崎 大体着ぐるみは出てくるからね。3メートルの宇宙人。
―― そうやって次々に成立しているのがすごいですよね。未亡人で壇蜜さんのとか。
河崎 『地球防衛未亡人』(14)。これは当たったんだよ。
―― タイトルとキャスティングでみんな「エッ」と思ったんじゃないですか。
河崎 だから、俺の映画ってそれだけなんだよね(笑)。
―― でも、そこに河崎さんという名前があるとちょっと安心感があるのは確かです。
河崎 『いかレスラー』ぐらいからでしょう。この人はバカなんだ、っていう。