―― でも、題字も書かれたりしてますよね。
河崎 内容に関しては何も言ってないね。
―― 内容を確認するとかチェックすることはないんですか。
河崎 ちゃんとギャラを振り込んで、「いいね。飲みに行こう」っていう(笑)。
―― そうやって応援してくれていたという感じですかね。
河崎 やっぱり実相寺監督に一番影響を受けたね。あなたは飯島(敏宏)監督だろうけどね。
―― そうですね。系列としては。
河崎 俺は実相寺監督なんですよ。
―― 映像スタイルとかテーマが実相寺作品の良さですかね?
河崎 というか…この話は長くなるからね(笑)。とにかく天才なんでね。何もかも。映像的にもね。考えも。フランス語もペラペラだし。とにかくやってることがただ者じゃないよね。『ウルトラマン』もああいう変化球でやったけど。のちに映画に行っちゃったけど。あまりにもキャパシティが大きすぎる人なんで、俺達凡人にはなかなか分からなかったけどね。俺たちは怪獣に特化して喜んでるけど、エロティシズムとか、フランスの映画の世界とか、いろいろやってるから。ちょっと太刀打ちできない人だったよね。ただ、飲んでバカ話してるのは本当に面白いしね。それは本当に影響を受けました。
―― 会うと真面目な話はあまりされない方でしたか?
河崎 気心を許した人にはそういうバカばっかりですよ。
『エスパレイザー』が超満員に
―― 河崎さんは、学生時代8ミリを作りながら、プロになろうとは思ってなかったんですか?
河崎 あわよくばと思っていたんだけど。映画を作るのが楽しくなってきたから。『エスパレイザー』(注6)という映画が池袋の文芸坐のル・ピリエでロードショーをやって、超満員だったんですよ。
―― ですよね。
河崎 今でも覚えてるけど、1回100人以上入ったんだからね。4回で約500人。超満員ですよ。今の俺の映画の動員数より多いっていう(笑)。それで結果を出して、その後、CMをやろうと思ったんですよ。映画は大変だから。でも、CMの世界は挫折しちゃってね。