元バレーボール選手の大山加奈さん。26歳で現役引退し、その後は指導者やメディアでも活動。今は双子の育児に励む母でもある。家族との日々や、現役アスリートに伝えたいこと、不妊治療で抱えた苦悩……。ジャーナリストの吉井妙子氏が話を聞いた。
5歳上の夫はスポーツトレーナー。出会いは、大山さんが現役引退後に母校の東京・下北沢成徳高校で練習の手伝いをしていた時だった。大山さんは「彼は出会った当初から相手を特別扱いしないところがあるんです」と、第一印象を語る。有名選手だった大山さんを特別視せず、仕事への姿勢が尊敬できる人物だったことが、惹かれたポイントだったという。
「これ以上頑張れない」心が折れた瞬間
結婚後、大山さんはすぐに不妊治療をはじめることに。当時31歳だった。タイミング法、人工授精と進み、最終的に体外受精に踏み切った。しかし、初めての採卵で使える卵がほぼなかったと知った時、大山さんは大きな挫折を味わう。
「ここで、心がぽっきり折れてしまいましたね。また採卵してもどうせダメに決まっているって。体外受精は1回60万円前後のお金もかかるし、もうこれ以上頑張れないと思い、気持ちを無理やり仕事に向かわせていましたね」
そんな中、夫の提案で豆柴の「だいず」を飼い始めた。愛犬の存在が大山さんの心の支えとなった。
「愛犬を迎えて、『この子がいればいいかな』と思っていたちょうどその頃、コロナ禍に。仕事がほとんど中止になりました。時間ができたことに加え、だいずのお陰で心に余裕ができたこともあり、不妊治療を再開することにしたんです」
2年間の休養を経て再び治療に取り組み、双子の女の子を授かることができた大山さん。不妊治療の経験を公表したのは、同じ悩みを抱える人々への思いからだった。
「私も不妊治療の最中はありとあらゆる情報を探していたので。もちろん不妊治療は人によって違いますし、正解がひとつではありません。ただ、私が名前を出して発信することで少しでも心が楽になる方がいるのであればと思って」
その上で、こうも語る。
「結婚してもしなくても、子どもがいてもいなくても、すべての選択が尊重されるべきですし、たとえば女性だけが家庭とキャリアを天秤にかけなければならない風潮があるのだとしたら変わる必要があるはずです。誰しもが望む選択ができるような社会になることを願っています」
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このインタビューの全文は、「『結婚を切り出したのは私からでした』“187cmのエース”→26歳で引退→双子の母に…大山加奈(40)が語る、家族との日々と現役時代に抱いた葛藤」、「『体外受精は1回60万円ほど』『採卵してもダメに決まってる、と心が折れて…』双子の母になった大山加奈が不妊治療を公表した“切実な理由”」または、以下のリンクからお読みいただけます。
