「リスク管理はみんなしっかりしてる」CAが合コンではっちゃけない理由

――CAが合コンで人気の理由について、松尾さんは著書の中で「ハズレがないから」と分析されていました。基本みんな容姿もよく、教育もしっかりしているからでしょうか。

松尾 確かにそうですね。教育はすごく厳しくてしっかりしている。合コンではっちゃける子もいないんです。男性って「俺この子と遊んだ」とか結構ペラペラしゃべるじゃないですか。そのネタにされるのは嫌だから、リスク管理はみんなしっかりしてました。

 あと独身だと先輩CAが「この子は独身だから面倒見てあげなきゃ」って、お節介をするんですよ。

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 ある時、先輩から「ホテルのラウンジで飲んでるからいらっしゃい」って言われて、行くと男性が1人いて。3人で飲んでたら「じゃあ、あとは若い2人でどうぞ」と先輩が立ち去っちゃう。内心「えー!」と思いましたが、むげにできないから、一応その男性とちょっとお酒飲んで帰るっていうのはありました。

 

“お持ち帰り”は一度もされず、「鉄のパンツをはいている女」と呼ばれていた

――合コンで危険な目に遭ったことはないんですか。

松尾 なかったです。私、嗅覚が鋭いと言いますか。なんでかなと思ったら、お酒が弱くて飲めなかったことと、あと夜が弱いんですよ。起きていられないんです。

 危ない系の合コンや飲み会って夜遅かったり、場所がヤバそうだなって。そういう合コンの誘いが送られてくると行かなかったです。

 “お持ち帰り”も一度もされていないので「鉄のパンツをはいている女」と言われていました(笑)。高校生の頃から付き合っている彼氏がずっといたんです。合コン自体も人間観察と喜んでもらえる人たちのためという感じでした。

――合コンの中で素敵だなという男性とかいらっしゃらなかったんですか?

松尾 全然。当時の彼と将来結婚できたらって思ってました。なんでその彼がよかったかというと、私が養護施設で育ったという生い立ちを知ってくれていたので。その彼とは結局結婚できなかったんですけど。

 CAになってからも自分の生い立ちは誰にも言ってなかったんですね。施設も「ミッション系の寮に入っていた」とかごまかしたり、自分の本当の部分をなかなか出せなかったので。

 合コンする男性たちもCAとの合コンを楽しみに来ているので、私の生い立ちを明かしたらドン引きだろうなと思っていて。なので合コンしながら、どっか冷めていた部分がありましたね。

写真=石川啓次/文藝春秋

INFORMATION

松尾 知枝(まつお・ちえ)
1980年生まれ。東京都出身。10歳から8年間、児童養護施設で暮らす。施設出身者の大学進学率がわずか10%という状況ながら大学進学を果たし、大手日系航空会社にCAとして乗務。最新著書「あなたの生きづらさ“昭和な呪い”のせいでした」(小学館)。

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