#1[絶望から生まれた幻の「新党ゼロ」は何を訴えたかったのか]から続く

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 安倍政権の支持率低下と反比例して浮上していく小泉進次郎の人気。全国的な世論調査の中では「次の総理にしたい人」として首位になることも増えてきた。マスメディアは彼の一挙手一投足を無批判に追い続け、自民党内はもちろん、野党の党首からもラブコールが聞こえてくる。

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 9月の自民党総裁選がどう転ぼうが、ポスト安倍の時代は、今後3年以内に必ずやってくる。総理大臣になる宿命を背負い、2020年代を見据えて「決起」の準備を進めている37歳のホープに対し、これからの野党はどう対峙していくのか。野党執行部たちが目の前の政局対応に忙殺されている中、進次郎世代に当たる国民民主党の若手たちは手探りながら、来たる「小泉進次郎政権」との対抗軸を見いだそうと模索し始めていることは、あまり知られていない。

 去る4月、永田町に彗星の如く現れては消えた、誰も知らない若手集団「新党ゼロ」の実像に迫る座談会の後編。「男子校の放課後」のような雰囲気の中で語り合い、氷河期世代ならではのゆるい政党観を掘り下げていくと、「2025年」という日本政治の分水嶺が浮上してきた。(司会・常井健一)

左から青山大人(あおやま・やまと/39歳)、森田俊和(もりた・としかず/43歳)、関健一郎(せき・けんいちろう/39歳)

党首討論で「モリカケ問題」を扱わなかったのは健全だ

関健一郎 我々、「新党ゼロ」の5人に共通するもうひとつのポイントは、「政党はどこでもいい」と思っていることでしょう。支援者にも政党ではなくて、「あんたを応援している」と言われます。だから、政党のために政治をやっているわけではない。法案の採決時の党議拘束ってどうなの――と思うし、審議拒否も非常に不愉快です。

青山大人 そうだよな。

 5月の党首討論で、我が党の玉木雄一郎共同代表が「モリカケ問題」を扱わなかったのは健全だと思うし、その路線を共有する仲間たちを誇りに思う。今までやりたくなかったけど、そろそろ政党名をちゃんと訴えようかなと思わされました。

森田俊和 55年体制で東西冷戦があった時代は、日本の政党も右と左ではっきり分かれていたと思うんですけど、今はそうではない。昔からの惰性で、保守系の組織団体は自民党を応援して、労働組合は自民党以外の候補を応援しているだけ。

 

 今や「同一労働同一賃金です」と、一昔前の社会党が言うべき内容を安倍政権が言っている時代ですよ。一方で、民主党政権は、保守政党がやるべきこともやっていた。だから、政党のスタンスって、もう何でもありだなという感じです。「紅白歌合戦」みたいなもので、政治家がたまたまAチーム、Bチームに分けられて、それぞれの役割を分担している。もう自民党と野党に大きな差はないと思います。

中選挙区時代は自民党内で政権交代が起きていた

青山 確かに、イデオロギーの時代ではないけど、いつの時代でも権力は必ず腐敗するわけですから、10年ごとに政権交代が起こって、より良い政策を練り上げることを競うような二大政党制ができればいいなと思っています。

 

 例えば、2000年代、政権交代前に民主党が掲げていたマニフェストって、非常に先進的だったんですよね。まさに最近、財務省の問題が出てくる中で、歳入庁・歳出庁創設のアイデアが議論されているけれども、あれだってずっと民主党が言っていたこと。保育無償化だって、もともとは民主党の看板政策だったのを安倍政権に取られた。でも、結果的にそれが実現して、少子化対策になれば、僕はそれでいいと思っている。

 僕も、自民党は別に嫌いじゃない。中選挙区時代は自民党が派閥で分かれていて、党内で政権交代が起きていた。今も、あれぐらいの振れ幅で政権が変わるべきだと思っています。国民民主党は、そういう選択肢になれるように目指していけばいい。