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野党1年生が国会議事堂で小泉進次郎をにらみつける理由

座談会・支持率ゼロ政党の「新しい地図」#2

2018/06/15

genre : ニュース, 政治

note

支持率に一喜一憂する必要なんてない

 そういう思いが結実したひとつが、「新党ゼロ」のコンセプトだった。

青山 世襲のサラブレッドとは違う、大きな売りになるかなと思う。

 「土のにおいがする政治家」って、何党にいようが選挙に強いんですよ。昔、亀井静香さんが作った国民新党だって、少人数で政党支持率はゼロに近かったけど、所属議員はそれぞれ自力で勝てる人ばかりだった。支持率に一喜一憂する必要なんてないんです。僕らはそういうのを目指したいよね。

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森田 小泉進次郎さんの場合、やっぱりああいう家系の中に生まれたら、選挙の心配をしなくてもいいでしょうし、特にお父さんだけでなく、お兄さんも俳優で有名人だし。だからこそ、ああいうふうに好き勝手……まあ、「正論」……なのかな……。

 

青山 けっこう、鋭いこと言うね(笑)。

森田 小泉さんが自民党青年局長をやっていた時、東北地方の被災地に毎月11日に行く活動をしていましたよね。確かに「東北の被災者を忘れるな」という考えには共感しますけど、毎月決まった「11日」に地元を離れられる環境を作るのは正直言って難しい。小泉さんが若くして全国行脚できるのは、世襲で選挙区事情に恵まれているからだと思います。

向こうは将来、自民党のリーダーになる

 僕は、国会の本会議場で質問に立つ時は、必ず小泉進次郎さんをにらみつけることにしているんですよ。

 

青山 これは面白いな。

 登壇するとわかるんですが、まっすぐ前を見ると、真正面のところに小泉進次郎さんの議席があるんです。向こうは将来、自民党のリーダーになりますから、こちらは東の横綱に対抗する西の横綱になるんだという気概でにらみつけています。ちなみに、小泉さんとは面識もありません。どこの誰だか、知らないと思いますよ。それでも、横綱にケンカを売る権利は、序ノ口の力士にもあるでしょう。

青山 その意気込み、いいなあ。

 

 例えば、昨年に小泉さんが若手議員と提案した「こども保険」のことなんかも、私は徹底的に勉強して反論できるわけですよ。実は、小泉さんが習っていた社会保障の専門家の先生は我々と一緒。一緒なのに、小泉さんが言っていることは我々とは噛み合わない。社会保障はユニバーサルサービスにするのが私たちの考えであり、小泉さんたちは金持ちと貧乏人で分けようとしている。これは大きな違いなんです。だから、細かい政策論にブレイクダウンして議論したら、僕は小泉さんに絶対勝つ自信があります。

青山 小泉さんは自民党で農林部会長もやっていたけど、やっぱり市場原理が好きだよね。釈迦に説法だけど、市場主義を導入してはいけない分野もあるんですよ。僕の選挙区は農村地帯だから、この点は地域を代表して強調しておきたい。かといって、今のままでいいわけではない。変えるべきところは変えるんだけれども、バランスって大事だと私は思うんですよね。そのバランス感覚が、小泉さんには足らない。

 

 だから、与野党で議論すべきなのは、モリカケ問題じゃないんですよ。審議拒否して、不信任案を出して、大臣の首を取るぞというやり方ではない。農林水産で言うなら「市場原理がいきすぎです」、社会保障であれば「金持ちと貧乏人を分けてはいけません」などと、自民党の政策に一つひとつ物申していく。小泉さんたち、自民党の同世代と政権交代可能な二大政党制に向けた健全な議論、さわやかな議論をすればいいんです。だから、その準備としても、登壇時に小泉さんをにらみつけているんです(笑)。