テレビで特番を組まれたこともあり、現在の容姿を予想した似顔絵も公開されていたが、南田はスキンヘッドになっていて、まったく別人のような顔をしていた。

 南田は殺人事件の管轄の警察署へ移送され、殺人罪でも起訴されることになったが、「殺すつもりはなかったし、殺してしまったという認識もなかった」と否認し続けた。

 南田は約12年前、被害者であるA子さんと知り合った。当時はパチンコ店員をしていたが、家では3人の女性たちと同居していた。

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 その女性たちはいずれも売春を生業とし、定宿を持たない女性たちだった。A子さんも公園で休んでいたとき、南田に声をかけられたのだ。

「行くところがないんだったら、家に来ればいい。仲間の女の子たちがみんな集まっているよ」

「お前はオレの言う通りにしていればいいんだ、分かったか!」

 南田のアパートは売春女性たちの“拠点”のようになっていて、南田は彼女たちの金と体を引き換えに一種のハーレム生活を送っていた。A子さんも仲間に加えられた。

 ただし、A子さんには軽度の知的障害があったため、他の女性たちと同じことはできず、南田はA子さんには両親に手紙を書かせて、「お世話になっている人がいる」「生活費を送って欲しい」と無心させ、その金を取り上げていた。

 だが、南田はパチンコ店員を辞めたことやA子さんを含む2人の女性が突然、家を出て行ってしまったことから、たちまち生活費に困窮し、アパートを解約せざるを得なくなった。

 その後、南田は土木作業をしながらその日暮らしを続けていたが、ある日、ターミナル駅でたまたまA子さんと再会した。

「A子ちゃんじゃないか。今までどこへ行ってたんだ?」

 南田はA子さんを健康ランドに誘い込み、今は別の男と一緒に住んでいることを聞き出した。

 その男がA子さんの健康保険証まで預かっているという話を聞いて、「きっとその男は悪いことに使おうとしているに違いない。オレが取り返してやる」などと言って、A子さんを懐柔した。

 南田の狙いはA子さんの両親から、再び金を送ってもらうことだった。まんまとその作戦に成功し、しばらく生活するだけの金を手に入れた。

 南田はA子さんと一緒に事件現場となったビジネスホテルで寝泊まりするようになった。さらにA子さんの親から金を引っ張ろうとしたが、A子さんが言うことを聞かないため、殴る蹴るの暴行を加えるようになった。

写真はイメージ ©getty

「お前はオレの言う通りにしていればいいんだ、分かったか!」

 しかし、1週間後、A子さんの容体が急変した。共通の知人がやってきたとき、その様子を見られ、南田は「医者を呼んでくるから」と出て行ったきり、行方不明になった。

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