自民党の根深い金権体質
さらに「政策活動費」も注目された。
《政党にも使途報告が不十分なカネがある。最たる例が政策活動費。政治家個人に提供した場合、その政治家に使途報告の義務はない。自民党の19年の政治資金収支報告書によると、党幹部18人に計13億円の政策活動費を支出。うち約10億円は幹事長の二階に渡っていたが、何に使ったかは明らかにされていない。》
つまり1億5000万とは別に、政権中枢から「表に出ないカネ」が河井夫妻に提供され、買収の資金に充てられた疑いがある。中国新聞は2021年にすでにそう書いていた。こういう経緯からの昨年9月、そして今回のスクープなのである。
《事件の要因としてあるのは、自民党の根深い金権体質だ。》
《そもそも河井夫妻は巨悪なのか。もっと背後に本当の巨悪が存在してはいないのか。それに検察は目をつむっていないのか。》
『ばらまき』にはそんな言葉もある。
地元紙の役割
河井氏の買収事件そのものに関しては、金権体質が根絶されない要因には「法制度」もあると指摘している。選挙区が重なる政治家同士が資金をやりとりすることを認めるなどの法制度だ。
「政治家は制度に穴があるから悪用する。その穴が不祥事で浮き彫りになった。だったら、その不祥事を制度改革につなげないと意味がない」という識者の声も載せている。
政治とカネの問題には「地方議員は集票マシン」という存在が大きいという。国会議員の選挙では地方議員が頼りにされるから危ないカネを渡してでも歓心を買おうとすると。なら、中国新聞のスクープのように、政治とカネの問題でも各地元紙の役割は今後ますます大きくなるのではないだろうか。
