・杉田氏は複数政党を渡り歩きながら右派に支持される政治活動をおこなってきた。ポイントは「慰安婦」問題の否定だった。

 

 ・2012年12月に杉田氏は衆議院選で日本維新の会から初当選すると、翌年に維新の議員とともにアメリカのグレンデール市を訪問し、「平和の少女像」の撤去を要求。国会でも少女像について質問し、右派のあいだで注目を浴びた。

 

・2014年に次世代の党から出馬すると落選。浪人中は「慰安婦」問題をめぐる右派の「歴史戦」活動に積極的に関わった。

※「歴史戦」とは産経新聞が2014年に始めた連載企画のタイトルがもと。中国や韓国、及び「朝日新聞」をはじめとする日本の左派が日本を貶めるために、「慰安婦」問題や徴用工問題、南京事件など歴史認識問題に関して不当に攻撃を仕掛けていて、それに対抗するために戦わなければならないとする。それを「歴史戦」と称した。

 ・杉田氏は精力的に「歴史戦」活動を行い、2017年10月に自民党の公認候補として衆院選比例ブロックに出馬し、当選。

 いかがだろうか。注目すべきは2017年に自民党の目に留まり、比例中国ブロックの単独1位で立候補という厚遇を手に入れたことだ。

人権侵犯と認定されたあとに正当化する動画をSNSに投稿

 この時に何があったのか? 翌年に毎日新聞が書いている(2018年8月2日)。

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《ジャーナリストの桜井よしこ氏が昨年9月、ネット上の番組の対談で「安倍さんが『杉田さんはすばらしい』と言うので萩生田さん(光一党幹事長代行)が一生懸命にお誘いした」と語った。》

 かくして自民党議員となった杉田氏。2022年の安倍氏銃撃事件をきっかけに旧統一教会問題がクローズアップされたが『宗教右派とフェミニズム』は次の視点を振り返る。

《統一教会が2000年代はじめに特に盛んになった、フェミニズムや男女共同参画への反動(バックラッシュ)の動きの中の中心的な団体だったことに触れるメディアはほぼ皆無だった。》

 ここで「バックラッシュ」という言葉が出てきた。杉田氏は人権侵犯と認定されたあとに言動を正当化する動画をSNSに投稿した。曰く「逆差別、エセ、それに伴う利権、差別を利用して日本をおとしめる人たちがいる。差別がなくなっては困る人たちと戦ってきた。私は差別をしていない」。

 これに対してヘイトスピーチやレイシズム(人種差別)の問題に詳しい社会学者の明戸隆浩・大阪公立大准教授は、「逆差別」「利権」といった言葉は、差別を是正する政策が進んだ後、バックラッシュとしてよくみられると述べている。日本でも「在日特権」「同和利権」などという言い方で、差別に使われてきた歴史があると(朝日新聞2023年11月1日)。