そのうえでこう述べる。
《利権や特権など存在しない。にもかかわらず、「マイノリティーが差別を主張することで不当な利益を得ている」と訴え、マジョリティーの不満をあおる。現代における差別扇動の典型的な表現だ》
“差別を取り戻す“のが自民党なのか
さて、今回どうなんだ? と感じるのは石破首相だ。杉田氏の差別発言について石破氏は過去にどう言っていたか。以下だ。
「全く正しいことだとは思わないし、多様な意見があるのだからいいんだという自由民主党であっていいと私は思わないですね。これでどれほど傷ついた人がいるだろうか」(2018年、安倍氏と総裁選を戦った際に)
12日の日刊スポーツコラム「政界地獄耳」が掘り起こしていた。石破氏は杉田氏を重用する安倍氏を批判していた。今回自民党が杉田氏を擁立した背景には安倍派元幹部らの要請があったという。首相は消極的だったが最終的には押し切られたと。
そんな石破氏に「政界地獄耳」は呆れていた。
《「総裁だからといってなんでも思い通りにならない」と言うが、このくらい思い通りにするべきだった。》
たしかに石破氏は何のために総理総裁になったのか。“差別を取り戻す“のが自民党なのか。
杉田氏の擁立を決めた背景には一部保守層が支持しているからというが「一部ではない保守層」は声を上げるべきだろう。このままだと差別を支持するのが保守層だと思われてしまう。そうではないはずだ。人間の尊厳を守ることは保守も革新もリベラルも立場は同じはず。
評論家の古谷経衡氏は《差別発言を続ける杉田氏に、国会議員の席を与えた自民党の罪は重い。日本の名誉を傷つけており、これ以上公認を与えるべきではない》と2年前の記事で言っている。
日本はまったく悪くないという思いからか、歴史修正主義やバックラッシュ発言を過激化することで杉田氏は一部から重宝された。しかしそれらは結局「日本の名誉を傷つけている」と断言されている。杉田氏は裏金問題でも処分を受けている。
石破さん本当にこのままでよいのですか。再考すべきでは? もし参院選まで首相でいられるなら、ですが。
◆◆◆
文春オンラインで好評連載のプチ鹿島さんの政治コラムが一冊の本になりました。タイトルは『お笑い公文書2025 裏ガネ地獄変 プチ鹿島政治コラム集2』。
