2025年2月、文春オンラインで反響の大きかった記事5本を発表します。第5位はこちら!(初公開日 2025/02/06)。

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《この世から抹消されるかもしれんけど、これが舞妓の実態。当時16歳で浴びるほどのお酒を飲ませられ、お客さんとお風呂入りという名の混浴を強いられた(全力で逃げたけど)。これが本当に伝統文化なのか今一度かんがえていただきたい》

 元舞妓の桐貴清羽(きりたかきよは)さん(25)がTwitter(現X)にそう投稿したのは2022年6月のこと。京都の花街を彩る舞妓が未成年飲酒やセクハラに晒されているという告発は大きな波紋を呼び、社会問題に発展。当時の厚労大臣・後藤茂之氏は会見でこの件について触れ、「芸妓や舞妓の方々が適切な環境の下でご活動いただくことが重要」と話すまでに至った。

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※写真はイメージ ©AFLO

 しかし、京都の五花街の保存を担う“おおきに財団”は「ツイートされた内容について、現在及び在籍していたとされる時期においても、そのような行為は一切なかった」と桐貴さんの主張を完全否定。疑惑は闇の中に葬られた。

 あれから2年半。花街は今、どうなっているのか――。

 桐貴さんの舞妓時代の実体験をもとにしたコミックエッセイ『京都花街はこの世の地獄~元舞妓が語る古都の闇~』(竹書房)の発売を記念し、告発後に明らかになった舞妓のさらなる闇、そして花街の変化について聞いた。

桐貴清羽さん ©細田忠/文藝春秋

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――桐貴さんが告発した未成年飲酒やセクハラといった舞妓の実態は世間に大きな衝撃を与えました。

桐貴清羽さん(以下、桐貴) 舞妓さんといえば、美しい舞踊や唄で宴席に花を添える存在。日本が誇る伝統芸能の担い手になりたいという思いで舞妓の世界に飛び込みましたが、実態は華やかなイメージからはかけ離れたものでした。

――桐貴さんは約8カ月の仕込み、見習い期間を経て、2015年11月に当時16歳で舞妓デビューしました。

桐貴 デビューして初めてのお座敷でお客さんからお酒を勧められた時は、本当に驚きました。未成年なので断ろうとすると、「俺の酒が飲めないのか」と言われ、先輩の舞妓からも「空気読みよし」と睨まれる。拒否することはできませんでした。お座敷はセクハラの温床で、着物の身八口や裾に手を入れられることは日常茶飯事。舞妓が三点倒立をしてみせる「しゃちほこ」と呼ばれる宴会芸では、着物の裾を広げて中を覗き見られることもありました。