値上がりが予想される“意外な食品”

「相互関税の影響で、日本のGDP(国内総生産)は1年で0.71%押し下げられる試算となる。額にすると約4兆円です。さらに、相互関税が他国に及ぶ影響を考慮すると、日本のGDPは0.82%、額にして約5兆円分が押し下げられます」

 今後、貿易赤字が解消されなければ、トランプ氏は関税率をさらに引き上げる可能性がある。

「試算上、米国の対日貿易赤字を解消するためには、日本からの輸入品全体に対して60%の関税を課す必要がある。日本のGDPは1.4%(約8兆円)減となり、恐慌の様相を呈するでしょう」(同前)

ADVERTISEMENT

 ただでさえ物価高にあえぐ庶民の生活にも、さらなる打撃となる。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストが分析する。

「現在は円高・ドル安に進んでいるので、短期的にみれば物価は上昇しません。しかし、関税の影響によって米国内でスタグフレーションが発生し、不況と物価上昇の両方が進む可能性があります。原材料を米国産に頼っている品目は、値上げが不可避でしょう」

値上がりが予想されるパン

 熊野氏によれば、値上げが予想される具体的な品目は、米国産に頼っている小麦を原材料とするパスタやうどん、パン。さらに、意外な食品も値上げの可能性があるという。

和牛も値上がりが予想される。その理由は……

「国内で飼育している和牛や豚、鶏です。家畜飼料の原料の半分近くがトウモロコシですが、多くを米国から輸入しており、飼料の値上がりが価格に転嫁されるためです。同様に、養殖魚の餌も値上がりするため、養殖がさかんなマグロの値段も上がるのでは。現在の物価高で、コロナ前と比べて食料品の値段は上昇していますが、さらに1.2倍になる可能性があります」(同前)

◇ ◇ ◇

 トランプ大統領による相互関税の“黒幕”、危惧される石破官邸の情報収集能力の低さ、そして“関税に勝つ”企業とはーー。「トランプ大恐慌」に備えた総力特集は、現在発売中の「週刊文春」および「週刊文春 電子版」で読むことができる。

次のページ 写真ページはこちら