暴走する大統領が再び世界を揺るがした。トランプ氏が貿易赤字を解消する名目で「相互関税」をぶち上げたのだ。日本にも関税24%が課されることが発表された。

 9日にトランプ氏は、一律10%の基本税率に上乗せされた分の関税を90日間にわたり一時停止するとしたが、それでも10%の関税は維持される。一体、今後、日本国民の暮らしはどうなるのか。(初出:「週刊文春 電子版」4月9日配信)

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 4月5日、石破茂首相(68)の姿は、大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」上にあった。

「面白さ、たぶん半端ない」

石破首相 ©︎時事通信

 1時間程の視察を終え、石破首相はこう言って胸を張った。

「いのち輝く未来社会」をテーマに掲げた万博のトピックのひとつが「人々が食と暮らしに困ることがない未来」だ。だが皮肉にもこの時、石破首相は“暴走大統領”から、国民の「暮らし」や「食」を苦境に陥れかねない驚愕のディールを突き付けられていた――。

 4月3日未明(日本時間)にトランプ大統領が発表した「相互関税」が世界を揺るがしている。

3日未明に発表された関税率(ホワイトハウス公式Xより)

「まず、5日からすべての国や地域を対象に一律10%の関税を課す。さらに9日から、貿易赤字が大きい国や地域を対象に、相手国の関税率や非関税障壁をふまえて自国の関税を引き上げる“相互関税”を導入すると発表したのです。日本は24%の関税を課せられることになりました」(経済部記者)

 この“トランプショック”で、日経平均は乱高下。4月7日に一時、3万1000円を割ったかと思えば、翌8日に3万3000円台に回復するなど不安定な値動きを見せた。日本経済への影響は既に顕著だが、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは、さらなる悪夢を予見する。