日本経済の中心地、東京・丸の内から“マル秘”財界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「丸の内コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
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岐路に立つ富士通
富士通(時田隆仁社長CEO)は近年、ハード領域を縮小し、サービスソリューション企業への転換を図ってきた。今年1月、エアコンなどを生産するグループ会社の富士通ゼネラル(増田幸司社長)を、給湯器大手のパロマ・リームホールディングス(小林弘明社長)に売却すると発表した。
いま富士通がサービスソリューションの主軸に据えるのが、「富士通ユーバンス」と呼ばれるブランド。従来のITサービスは顧客のシステム導入や保守・運用にとどまっていたが、ユーバンスでは導入前の時点から顧客に幅広い提案を行い、収益の「サブスク強化」を目指す。2024年2月にはそれを推進するべく、コンサル事業ブランドを設立した。
富士通ユーバンスを統括するのが、24年に執行役員副社長COOとなった高橋美波氏。ソニーグループ(十時裕樹社長CEO)や日本マイクロソフト(津坂美樹社長)を経て、21年から富士通に参画している。コンサル事業を率いる大西俊介執行役員副社長CROはNTT子会社の社長などを経て19年から富士通。高橋氏と同じく24年から現職に就く。
川崎フロンターレのホームスタジアムの名前にも冠するほど力を入れるユーバンス。しかし、いまのところその評価は芳しくない。25年度末までにコンサル人材を1万人集めることを目指していたが、半分程度しか確保できなさそうなのだ。従業員の意思でキャリアを選べるジョブ型人事制度を導入したが、「コンサルを務められる能力のある社員がいない」(現役社員)という。富士通はITインフラやソフトウェア開発を中心に仕事をしてきた社員が大半で、「いきなりコンサルなんてできない」としり込みしているのが現状だ。
「そのため今は無理矢理、40、50代がユーバンスのコンサル部門に異動させられています」(同前)
《この続きでは、富士通の次期トップ候補について関係者が語っています》
※本記事の全文(約4900字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と、「文藝春秋」2025年5月号に掲載されています(丸の内コンフィデンシャル)。

■連載「丸の内コンフィデンシャル」
1月号 セブン買収のキーマン、あおぞら銀の受難、メルカリの内憂外患、外食高値買収劇の裏
2月号 日産ホンダの同床異夢、ソフトバンクの隙間風、HISの後継者は?、犬猿の仲は続く
3月号 楽天ナンバー2の交代、貸金庫事件の余波、トヨタ会長活躍の裏で、パソナの世襲の行方
4月号 日産・社外取の思惑、魚谷氏のコンサル人脈、農林中金の退職金は、ヤマダ3人目の後継
5月号 今回はこちら
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