プロデューサーが途中で抜けた。あんな不安なことない
宇多丸 ともかく古川さんも含めて、僕だけじゃないアイデアが入るようになってちゃんと番組が回るようになった。あと、橋Pが途中で抜けて「金マン」になったじゃないですか。
古川 要は制作部から事業部に行ってね。「お前はもうラジオマンやない、金を稼ぐ金マンや!」っていう、ただそれだけの話なんだけど。
宇多丸 あれが結構大きな転機だったかな。だって、なんだかんだ言って「『タマフル』は橋本さんの番組」っていうイメージだったから。それが途中で抜けるなんてあり得ないでしょって当時は思った。
しまお ねえ。あんな不安なことないですよね。
宇多丸 でも、それでもなんとかなるって思ったのが大きかったかな。
古川 会社だから当然こういうことはあるよね、って今では分かるようになったけど。オレもそこで「ああ、会社員の人は替わるかもしれないんだ」と気づいて、じゃあ宇多丸さんとオレとこれから来るスタッフと、臨機応変に変わっていかないといけないし、変えないといけないんだな、って思った。
宇多丸 まあ、そうは言っても金マンとか言ってガンガン番組に出てたんだけど。
しまお そうそう。あの立ち位置が逆にうまくいってましたよね。それこそほんとプロレスっていうか、ドキュメンタリーみたいな感じ。
宇多丸 でも、橋Pも「変わっていったほうがいいんです、こういうのは」っていうことは当時すごく言ってた。
宇多丸さん、最近風水とか言いだしてるじゃないですか
しまお 『アフター6ジャンクション』の特集コーナーってやっぱり1時間なんですか?
古川 いや、特集は40分ぐらいですかね。
宇多丸 しまおさん、どうですか。誕生日占い特集でもやりますか?
しまお ああ。なんか占い的なのやりたいですね。
宇多丸 占いってそういう感じでやれるものなの?
しまお いやいやいや。でも占いって面白いじゃないですか。
宇多丸 まあ、面白い……ですかね。
しまお だって、なんか宇多丸さん、最近風水とか言いだしてるじゃないですか*。(*占いの類いを拒み続けてきた宇多丸が、2018年3月2日のTBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』にゲスト出演した際、「(最近はまっているルームフレグランスは)風水的にもいいらしい」と発言し一部をザワつかせた)
宇多丸 風水は占いじゃ……。
しまお あれはちょっとざわつきましたよねえ。
古川 あれはざわついたよね。しかもフレグランスからの風水ですからね。オイオイオイ、と。
しまお ねえ。
宇多丸 風水はなんだかんだいって、ただ、まともなことしか言ってないんですよ。
古川 その正当化しようとしてる感じが、また。
しまお そうそう。風水を擁護してる。
宇多丸 要は「家をきれいにしましょう」っていうことですよ。ていうか、オレはもともと占いとかそういうのに人一倍エフェクトされやすいの! だからイヤなの。ルームフレグランスもさ、「これってひょっとして風水的なあれかな?」ってちょっと調べちゃったんだよ。そうしたら「玄関の周りはこうで……」みたいなのがやっぱり目に入っちゃうの。そうすると、やっぱり頭では関係ないと思ってても、例えば「入口に人形とか置くべきじゃない」みたいなのを見ちゃったら、それに逆らって置くのは相当勇気がいるじゃない。
しまお まあね。だって名前の画数とかもね。「凶」って書いてあったらそれはつけられない。
宇多丸 でしょ。だから、それはみんなあるやつなわけ。「これってひょっとして風水的な……?」って調べちゃって、それがもう終わり。もともとやられやすいタイプなの。バンバン壺買うの。壺買う、足ツボ。
古川 「55億貯めずになにが人間か」ね。
宇多丸 そういう本があったんだよ。
古川 福永法源でしたっけ。
宇多丸 『55億貯めずになにが人間か』*。まあ、そんな感じですよ。だから、いろいろお願いしますよ。(*宗教団体「法の華三法行」の元代表・福永法源〔2000年に詐欺容疑で逮捕〕が1995年に出版した著書名)
後編 TBSラジオ『タマフル』を11年続けて、ラジオの聴き方が変わった
http://bunshun.jp/articles/-/7829
写真=末永裕樹/文藝春秋