「日テレの人たちはみんな元々『落ちこぼれ』意識が強かった」(てれびのスキマ)「王者としての驕りがない。豊臣秀吉みたいですもん」(ヒャダイン)。かつて万年3位と揶揄された日本テレビが、視聴率1位を獲得し、以降も常勝する強さを探りだした『全部やれ。 日本テレビ えげつない勝ち方』の著者と、子供の頃よりテレビを偏愛するヒャダインさんとの対談の最終回。
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ダウンタウンと『24時間テレビ』
戸部田 『全部やれ。』では、92年にダウンタウン司会でリニューアルされた『24時間テレビ』が、日テレの反撃の狼煙の象徴だと描いているんですが、当時ご覧になった記憶はありますか?
ヒャダイン あります、あります。松っちゃん、浜ちゃんが泣いたか、泣いてないかみたいなことになりましたね。あれも、ああ、『24時間テレビ』ダウンタウンもやるんだ! ってびっくりしましたね。
戸部田 まさに日テレの「変わる、変える」的な象徴としての起用だとおっしゃっていました。当時は今と比べ物にならないくらいダウンタウンがヤンチャで、チャリティーとは無縁のイメージでしたから。
ヒャダイン 僕なんて関西だから、ダウンタウンは『4時ですよーだ』とかから見てたんですけど、『24時間テレビ』のパーソナリティに起用されて、こどもながら「あっ、売れた」っていう感じがしましたね。
戸部田 菅さん(賢治、『ガキの使い』など)も「これがスターになっていくって瞬間なんだろうな」と思った、と。
ヒャダイン 僕は、他の人ほど『24時間テレビ』に嫌悪感はないんです。よく「偽善」とかって言われて批判されてますけど。なんか、この本で書かれているような日テレの体質を知っていたら、すべて享受できる感じはするんですよね。だから”徳光和夫性”。たぶん『24時間テレビ』を見て、偽善だって怒っている人って、「徳光和夫」さんが、「潔白じゃないのに、潔白ぶって、嘘つき!」と言って怒っていると思うんですけど、もともと、「僕、ホントはギャンブル大好きで、悪口も言います。でも感動もするんです」というスタンスなのです、日テレさんは。なので、それを考えたら、いい企画じゃんと思うんですよね、『24時間テレビ』。人のためになることもしているし。それを、私たちは潔白です。純粋な人間がやっていますというのを鵜呑みにして、でも裏切られたという経験をしたくないから、人々は叩くんだとは思うんです。